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脳画像から脳年齢予測モデルを構築、てんかんで予測脳年齢の亢進を発見-NCNP

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2019年06月14日 PM12:30

脳画像から個人の脳の年齢を予測するシステム作り

(NCNP)は6月12日、さまざまなタイプのてんかんにおける脳の加齢システムの異常を脳画像と機械学習を用いた手法によって明らかにし、海馬硬化症などの脳の構造的異常や、精神症状などの合併症がある場合にさらなる異常加齢が認められることが判明したと発表した。この研究は、同センター脳病態統合イメージングセンター(IBIC)の曽根大地研究生(主所属: Institute of Neurology)、松田博史センター長、病院放射線診療部の佐藤典子部長らのグループによるもの。研究成果は「Molecular Psychiatry」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

てんかんは、世界で約5000万人が罹患する神経疾患であり、発作の消失しない薬剤抵抗性てんかんの存在に加え、抑うつや精神病といった精神症状や認知機能障害などの合併症を伴いやすいことが問題になっている。こうした状況の中で、てんかんの焦点病変の検出や、種々の合併症等のリスク因子の同定、および病態生理の解明のため、脳画像によるバイオマーカーの確立が期待されている。MRIやPETなどの脳画像からは、てんかん焦点病変の可視化が期待できるだけでなく、脳領域ごとの灰白質や白質の容量を測定するvoxel-based morphometry()などの解析技術を用いて、定量的かつ低侵襲に脳の構造を調べることができる。今回研究グループは、個人レベルで応用可能なバイオマーカーの確立を目指し、近年飛躍的に有用性を増している機械学習の技術を用いて、患者一人ひとりの脳画像から個人の脳の年齢を予測するシステム作りを試みた。

ほとんどのタイプのてんかん患者で平均4年以上脳年齢が上昇

研究グループは、まずNCNPで撮像された1,000人以上の健常人のMRIデータを画像解析ソフトにより標準化し、得られた脳の各部位の灰白質および白質の容積の数値から、各個人の実年齢に適合するような年齢予測計算モデルを、サポートベクター回帰と呼ばれる機械学習によって構築。この年齢予測モデルを、同じくNCNPで撮像された318名のてんかん(または心因性発作)患者の脳画像に適用し、患者各個人の脳画像から予測される年齢を算出した。その結果、ほとんどのタイプのてんかん患者で平均4年以上の脳年齢の上昇が起こっており、健常人にみられる脳の加齢と異なった加齢プロセスが存在することが示唆された。その中でも特に、幻覚や妄想といった精神病症状がある側頭葉てんかんの患者の場合、そうでない患者に比べて、さらに5年程度の脳年齢の上昇が認められた。これは過去の統合失調症等における先行研究とも合致する数値で、てんかんにおいても精神病症状の存在がさらに脳年齢を上昇させるメカニズムが存在する可能性があるという。

また、非てんかん性の心因性発作をもつ患者でも、てんかん患者と同程度の脳年齢の上昇が認められた。これにより、病態生理はもちろん異なるが、心因性発作においても何らかの脳の器質的な問題が存在する可能性が考えられるという。今回の研究の手法により、患者の通常の診療の枠内でも撮像が可能なMRI画像を用いて、個人レベルで臨床応用できる数値指標の計算が可能になり、今後新たなバイオマーカーとして確立されることが期待されると研究グループは述べており、縦断データを用いた経時的な脳年齢の変化の検証や、認知機能等の更なる臨床データの蓄積による検討を今後行っていく必要があるとしている。

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