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NICUで保育された早産児は、腸内細菌叢の形成が遅れると判明-ヤクルトと愛媛大

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2019年06月14日 PM12:15

NICUで保育された早産児と、正期産児における腸内細菌叢の形成過程を調査

株式会社ヤクルト本社は6月12日、出生後に新生児集中治療室()で保育された早産児(在胎37週未満)と健康な正期産児(在胎37~42週)における腸内細菌叢の形成過程について調査し、NICUで保育された早産児における腸内細菌叢の形成の遅れを確認したと発表した。この研究は、同社と、愛媛大学大学院医学系研究科小児科学の田内久道准教授らの研究グループとの共同研究によるもの。研究結果は、「Beneficial Microbes」に掲載されている。


画像はリリースより

近年の研究では、乳児の生理機能とその後の健康に、腸内細菌叢の形成が影響するとの報告されている。一方、NICUで保育される早産児においても、腸内細菌叢の状態や形成を把握することで、罹患しやすい疾病リスクを低減するための対応策を構築する第一歩になると考えられている。

そこで、同社中央研究所と愛媛大学は、出生後にNICUで保育された早産児の腸内細菌叢の構成および形成状況を調べ、健康な正期産児との比較を行った。また、腸内細菌叢の形成と看護環境の変化との関連性を検証した。

保育器での保育期間が長いほど、ビフィズス菌群定着までに日数を要する

研究グループは、出生後にNICUの保育器で保育された早産児17名および健康な正期産児42名から糞便を採取。早産児17名のうち11名については生後0日~1か月目まで経時的に採取し、さらに1~2か月目の期間において、数回採取した。残りの6名および正期産児42名については、生後5日目と約1か月時点において採取した。これらのサンプルについて、16SrRNAに基づく遺伝子解析、pH測定、高速液体クロマトグラフィーを用いた有機酸濃度の測定を行った。また、NICUでの保育期間など早産児の看護環境の変化を調べた。

その結果、生後約1か月間の腸内細菌叢形成において、早産児においても、正期産児と同様に腸内細菌叢の構成がビフィズス菌群優勢のタイプ、大腸菌群優勢のタイプ、グラム陽性球菌群優勢のタイプの3つに分類された。また、早産児は、正期産児と比較して腸内細菌叢がビフィズス菌群優勢となるタイミングが遅い、つまり、ビフィズス菌群の定着が遅れることを確認した。さらに、NICUの保育器での保育期間が長いほどビフィズス菌群定着までに日数を要することが確認された。研究グループは、NICUで保育されている早産児は、衛生的に保たれた閉鎖環境にいるため、さまざまな菌と接触する機会が少ないことが、その要因のひとつであると考察している。

今回得られた知見は、NICUで保育された早産児における腸内細菌叢の形成の遅れを確認したものであり、出生後間もない時期からビフィズス菌を与えることにより正常な腸内細菌叢へ導くなど、新たな対応策を構築するための糸口となる可能性がある。今後、さらなる研究の発展により、早産児が罹患しやすい疾病リスクの低減へとつながることが期待される。

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