医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 臨床用iPS細胞ストック由来のCAR発現自然キラーリンパ球の製造開発に向けた共同研究を開始-CiRAとキリン

臨床用iPS細胞ストック由来のCAR発現自然キラーリンパ球の製造開発に向けた共同研究を開始-CiRAとキリン

読了時間:約 1分18秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年04月05日 PM12:00

iPS細胞からCAR発現NK細胞を製造

京都大学iPS細胞研究所(:サイラ)は4月3日、CiRAが作製した再生医療用iPS細胞ストックからCAR(キメラ抗原受容体)発現自然キラーリンパ球()への製造開発に関する共同研究をキリンホールディングス株式会社と共に開始したと発表した。

iPS細胞技術を患者に届けるためには、品質の保証されたiPS細胞を安定的に提供できる体制が不可欠。そこでCiRAでは、CiRA附属の臨床用細胞調製施設であるFiT(Facility for iPS Cell Therapy)において、2013年度から再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトを推進し、原料の細胞となるiPS細胞ストックを提供してきた。

低コストで安定に供給する体制構築を目指す

今回のプロジェクトは、CiRAのiPS細胞ストックから、がんの細胞治療に用いる臨床試験用の免疫細胞を製造することが目的。まずはCiRAの金子新准教授のグループによる研究成果をもとに、iPS細胞ストックにがんを認識するCAR遺伝子を導入し、CAR発現キラーリンパ球に分化させるための臨床用の製造プロセスを確立し、FiTから臨床用製剤を供給する体制構築を目指すという。

キリンホールディングスは、CiRAが実施するiPS細胞ストックから、がんの細胞治療に用いる臨床試験用の免疫細胞製造をサポート。同社は、この共同研究を「医の周辺領域への価値創造」と位置付け、品質の保証されたiPS細胞由来の臨床試験用細胞を、難治性の疾患を患う患者に届けるサポートをするとともに、細胞加工技術をキリングループにおける新たな事業基盤づくりにつなげていくとしている。

CARによるがん免疫療法は実用化が始まっているが、患者ごとの製造が必要となる自家移植が中心でコストの面などに課題がある。「iPS細胞ストックを用いた同プロジェクトを進めることによって、安定した品質での細胞治療を可能にするとともにコスト削減につながることを期待する」と、CiRAの山中伸弥所長は述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 加齢による認知機能低下、ミノサイクリンで予防の可能性-都医学研ほか
  • EBV感染、CAEBV対象ルキソリチニブの医師主導治験で22%完全奏効-科学大ほか
  • 若年層のHTLV-1性感染症例、短い潜伏期間で眼疾患発症-科学大ほか
  • ロボット手術による直腸がん手術、射精・性交機能に対し有益と判明-横浜市大
  • 前立腺がん、治療決定時SDMが患者の治療後「後悔」低減に関連-北大