CD19を認識して攻撃する、新しいがん免疫細胞療法
ノバルティスファーマ株式会社は3月26日、再発または難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発または難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を対象として、国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法「キムリア(R)点滴静注」(一般名:チサゲンレクルユーセル)の製造販売承認を取得したと発表した。
キムリアは、患者自身のT細胞を用いてがんと闘う、高度に個別化された画期的な免疫細胞療法。白血球アフェレーシスという特殊な血液ろ過プロセスを通して、個々の患者から採取されたT細胞は、同社の製造施設で、がん細胞やその他の細胞の表面に発現するCD19抗原を特異的に認識し攻撃するよう、遺伝子導入により改変される。その後、改変されたT細胞(CAR-T細胞)は、培養、厳格な品質検査等を経て、最終製品として、患者が治療を受ける医療機関に輸送される。CAR-T細胞が患者の血液に投与されると、CD19を認識し攻撃する際に伝わる刺激により、CAR-T細胞自身が患者の血液内で増殖することから、投与は一度のみで行われる。
再発または難治性のCD19陽性のB-ALLとDLBCLが対象
今回の承認は、再発または難治性のCD19陽性のB-ALLとDLBCLを対象とした、持続的な奏効と一貫した安全性プロファイルを示した初めてのCAR-T細胞療法の国際多施設共同第2相試験(ELIANA試験、JULIET試験)の結果に基づくもの。両試験の成績から、キムリアの安全性プロファイルは、再発または難治性の小児または若年成人のB-ALLと再発または難治性の成人のDLBCLとの間で同様であり、キムリア投与後の副作用は、CRS管理アルゴリズム、標準的な治療法あるいは支持療法により管理可能であることが確認された。
キムリアは、2017年8月、米国において、小児および若年成人の再発・難治性B-ALLを適応症として初めて承認を取得したCAR-T細胞療法で、2018年5月に2つ目の適応症である成人のDLBCLに対する承認を取得している。また、2018年8月、欧州において、小児・若年成人のALLおよび成人のDLBCLに対する販売承認を取得。その後、カナダ、スイス、オーストラリアでも同様の適応で承認を取得している。
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