世界の死因第3位のCOPD
九州大学は3月14日、歯周病と慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)発症との関係を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の二宮利治教授が主任を務める久山町研究の一環として、同大歯学研究院口腔予防医学分野の竹内研時助教(当時)と山下喜久教授らの研究グループ、同大医学研究院呼吸器内科学分野の松元幸一郎准教授らとの共同研究によるもの。研究成果は国際科学誌「Journal of Dental Research」に3月8日付で掲載された。
画像はリリースより
COPDは、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称。WHOの報告では2016年に世界の死因の第3位となり、重要な社会問題となっている。COPD発症の要因は喫煙を主とする有害物質の長期吸入であるとされているが、非喫煙者の発症要因はこれまで未解明だった。
歯周病がCOPD発症の引き金に
今回研究グループは、近年全身の健康を脅かす病気として知られる「歯周病」に着目。福岡県久山町の60歳以上成人900名の追跡調査データを分析し、歯周病とCOPD発症との関連を検討した。
その結果、喫煙などの影響を加味した上でも、歯茎が健康な人や歯周病が軽度の人に比べ、歯周病が重度な人はCOPDを5年以内に発症する割合が3.5倍も高く、COPD患者の約4人に1人は中等度以上の歯周病が原因である可能性が示された。このことは、歯周病の予防のために普段から自宅や歯科医院で口内環境を健康に保つことはもちろん、歯周病になっても適切な治療を受けて重症化を未然に防ぐことで、COPD発症のリスクが下がる可能性を示している。COPDにならないために、禁煙だけでなく、口の健康もしっかりと守っていくことが今後重要になると考えられると研究グループは述べている。
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