アポトーシスとASK1を標的にした低分子阻害薬
米ギリアド・サイエンシズ社は2月11日、代償性肝硬変(F4)を呈する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を対象としたSelonsertibの第3相臨床試験であるSTELLAR-4試験のトップラインデータを発表した。同試験のデータは、今後開催される関連学会に提出する予定。
Selonsertibは、酸化ストレス下において炎症、アポトーシスおよび線維化を促進するタンパク質であるASK1を標的にした開発中の低分子阻害薬。酸化ストレスは、NASHなどの肝疾患をはじめ、さまざまな病態で亢進する可能性がある。
STELLAR-4試験は、F4を呈する18~70歳のNASH患者を対象に、selonsertibの安全性および有効性を評価する、第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。投与開始48週間目においてNASHを悪化させずにNASH CRNの分類に基づいた1ステージ以上の肝線維化の改善を達成した患者の割合と、240週間目における投与開始から初回の臨床イベント発現までの無イベント期間を評価した。
CRN分類に基づく肝線維化の改善を達成した患者の割合で
対象となる患者877例にselonsertibを投与したところ、48週間の投与後にNASHを悪化させずにNASH臨床研究ネットワーク(Clinical Research Network:CRN)の分類に基づき1ステージ以上の肝線維化の改善を達成した患者の割合は、プラセボ群では12.8%であったのに対し、selonsertib18mg群では14.4%(プラセボ群との比較、p=0.56)、selonsertib6mg群では12.5%(p=1.00)で、事前に設定した投与開始から48週間目の主要評価項目は達成されなかった。しかし、Selonsertibの忍容性は概ね良好であり、安全性の結果も過去の試験と一致していた。
ギリアド社はこの結果を受け、「本治験で主要評価項目が未達成だったのは残念だったが、間もなく架橋性線維化(F3)を呈するNASHを対象としたselonsertib の第3相臨床試験であるSTELLAR-3試験の結果と、線維化が進行したNASHを対象にselonsertib、cilofexor(GS-9674)およびfirsocostat(GS-0976)の併用投与を検討するATLAS第2相臨床試験の結果が出る予定なので、それらの結果を待ちたい」と、述べている。
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・ギリアド・サイエンシズ株式会社 プレスリリース