データの詳細な解析から明らかに
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院の竹内芙実研究生、中村治雅研究生、NCNPトランスレーショナル・メディカルセンターの米本直裕室長、木村円室長らのグループは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に対するステロイド治療が長期効果を示していることを発表した。
(画像はプレスリリースより)
これは研究グループが、神経筋疾患患者情報登録「Remudy」に登録されたデータの詳細な解析を行ったところ、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者に対するステロイド治療が、歩行可能期間を延長していることが明らかになったもの。
この研究成果は、国際的科学誌「Journal of Neurology」のオンライン版に9月22日、掲載された。
歩行不能になるまでの期間が延長
研究グループは、Remudyの運用が開始された2009年7月から2012年6月までに登録されたジストロフィン異常症患者を、「ステロイド未使用群」と現在使用中あるいは過去に使用した「ステロイド使用群」に分け、歩行不能になる時期を後方視的に検討。
その結果、歩行不能年齢の中央値が「ステロイド未使用群」が10歳1ヶ月なのに対し、「ステロイド使用群」は11歳0ヶ月で、歩行不能になるまでの期間が有意に延長していることが明らかになったという。
これは、日本人の筋ジストロフィー患者に対する治療薬の長期効果を検討した初めての臨床研究になる。また、ステロイド治療の長期効果を検討した研究はこれまでにも行われているが、患者登録制度を活用した研究は世界でも初めてであり、現時点で世界最大規模の臨床研究になるという。
今後は、DMD患者のステロイド治療に関する詳細な臨床情報(使用量、開始時期、副作用等)の解析と、心肺機能保存、側彎進行の抑制など、長期効果につながる安全で有効な投与方法を明らかにすることが期待される。(小林 周)
▼外部リンク
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター プレスリリース
http://www.ncnp.go.jp/press/press_release131017.html