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心房細動を有する脳梗塞・TIA、発症前のワルファリン療法で長期転帰改善せず-国循

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2019年02月01日 PM12:30

血栓防止、脳梗塞予防効果があるワルファリン

国立循環器病研究センターは1月30日、心房細動を有する脳梗塞または一過性脳虚血発作()患者への発症前のワルファリン療法が、短期転帰は改善するが長期転帰は改善しないことを、国内多施設共同研究によって明らかにしたと発表した。この研究は、国循脳血管内科の徳永敬介医師(現国立病院機構九州医療センター)、古賀政利部長、豊田一則副院長らの研究グループによるもの。研究成果は、米国心臓病協会が発行する医学雑誌「Journal of the American Heart Association」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

心房細動は脳梗塞の最も重要な危険因子のひとつ。ワルファリンは心房細動を有する患者の心臓の中に血栓ができるのを防ぎ、脳梗塞の発症を予防することを目的として用いられる抗凝固薬で、服用により脳梗塞発症時の重症度が軽減されることがいくつかの研究で明らかになっている。しかし、発症前の服用による長期転帰の改善効果については検証されていなかった。

3か月後転帰は良好だが、2年後転帰では有意差見られず

研究グループは、基礎疾患として心房細動を有する、脳梗塞またはTIA患者を対象とした多施設共同観察研究であるSAMURAI-NVAF研究を、国内18の脳卒中センターで実施。そのサブ解析として発症前の抗凝固療法による短期および長期転帰(機能転帰不良または死亡)の改善効果を検討した。同研究に登録された1,189例について、発症前に抗凝固療法を行っていなかった群、不十分な薬量でワルファリンを服用していた群、十分な薬量でワルファリンを服用していた群に分け、3か月後および2年後転帰と2年以内の虚血イベント(脳梗塞やTIAの再発など)の有無を調査した。

その結果、発症前に抗凝固療法を行っていなかった群に比べ、その他の群では来院時の重症度が低く、3か月後転帰が良好であるものの、2年後転帰には有意差がないことが明らかになった。また、発症前に抗凝固療法を行っていなかった群に比べ、十分な薬量でワルファリンを服用していた群では虚血イベントを起こす割合が高いことも明らかになったという。

今回の研究により、抗凝固療法を行っていても脳梗塞やTIAを発症する患者では、一時的には抗凝固療法の効果がみられた場合でも、その後の再発が多く、長期転帰は改善されないことが示唆された。研究グループは、「抗凝固療法を行っているにも関わらず虚血イベントを繰り返す患者に対しては、より注意深く再発予防を行う必要があり、そのような患者に対する有効な治療法の確立が今後の課題」と、述べている。

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