微化研が保有する天然物とその関連物質を杏林製薬に提供
微生物化学研究会微生物化学研究所(微化研)とキョーリン製薬ホールディングス株式会社の子会社である杏林製薬株式会社は10月11日、微化研が保有する天然物およびその関連物質を杏林製薬に提供することに合意し、多剤耐性菌に有効な抗菌薬の探索をする共同研究を開始したと発表した。
ペニシリンの発見以来、抗菌薬は、細菌感染症の治療薬として人々の健康に大きく貢献している。その一方近年では、多くの抗菌剤に耐性を示す多剤耐性菌による感染症が問題となっており、抗菌薬の適正使用とともに、多剤耐性菌に有効な抗菌薬の開発が望まれている。
今回の合意により、杏林製薬は微化研から、ターゲット疾患の主要起炎菌であり、耐性化が問題となっている菌種に対して抗菌活性を有する天然物の提供を受ける。また、一定のクライテリアを達成した天然物については、両者で共同研究開発契約を締結し、リード最適化および前臨床研究、臨床試験を進めていく予定だ。
互いの経験とノウハウを生かし、革新的な抗菌薬の創出を
微化研は、微生物の多面的な有効利用に関する優れた基盤研究力を持ち、新規生理活性物質の発見、創製を主目的として業務を行っている。また、これまでに、耐性菌にも広く有効なカナマイシン誘導体の合成に成功している。一方、杏林製薬は、世界初のニューキノロン系合成抗菌薬「ノルフロキサシン」の開発に成功し、現在は「ラスクフロキサシン」を国内で申請中。感染症領域において、幅広い事業展開を推進している。
両者は「今回の共同研究を通じて、両者それぞれの感染症領域における経験・ノウハウ・ネットワークなどの強みを生かし、革新的な抗菌薬の早期創出を実現することで、感染症の患者とその家族の多様なニーズに対するより一層の貢献を目指す」としている。
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・杏林製薬株式会社 ニュースリリース