P3試験での良好なPFSデータに基づく承認
アストラゼネカ株式会社は8月29日、切除不能な局所進行(ステージIII)の非小細胞肺がん(NSCLC)における根治的化学放射線療法後の維持療法を効能・効果とした「イミフィンジ(R)点滴静注120mg・同500mg」(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え))の販売を開始したと発表した。
画像はリリースより
今回の承認は、第3相PACIFIC試験の良好な無増悪生存期間(PFS)データに基づくもの。また、2018年5月に発表された全生存期間(OS)の中間解析では、プラセボ投与群との比較で同剤投与群の患者において臨床的に意味のある延長を伴う統計学的に有意な結果が示された。有害事象はイミフィンジ投与群で460例(96.8%)、プラセボ投与群で222例(94.9%)に発現。また、重篤な有害事象はイミフィンジ投与群で136例(28.6%)、プラセボ投与群で53例(22.6%)に発現した。同試験結果の詳細については、今後学会等で発表する予定。
薬価収載に伴い無償提供を終了
イミフィンジは、PD-L1に結合し、PD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し、抗腫瘍免疫反応を誘発する。米国では、2018年2月に白金製剤を含む同時化学放射線療法(CRT)後に病勢進行が認められなかった切除不能なステージIIIのNSCLCに対する治療薬として承認を取得している。
現在、イミフィンジは、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、肝細胞がん、その他の固形がんの1次治療として、単剤療法ならびに、化学療法、放射線療法、低分子化合物および抗CTLA-4モノクローナル抗体のトレメリムマブとの併用療法が検討されている。
同社はこれまで厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもとで、2018年7月2日の製造販売承認取得以降、薬価収載前日までに限定して、同剤の無償提供を実施していた。その結果、45施設で153人の患者の治療に同剤が貢献したという。今回の薬価収載に伴い、同剤の無償提供は終了する。
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