日中の時間帯に限った摂取で脂肪肝と高中性脂質血症を改善
名古屋大学は8月16日、砂糖の取りすぎによって起こるメタボリックシンドロームへつながる脂質代謝異常(脂肪肝、高中性脂質血症)を、日中の活動している時間帯のみの時間制限摂取により、脂肪肝と高中性脂質血症が改善されることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授らの研究グループによるもの。研究成果は「PLOS ONE」に掲載されている。
画像はリリースより
これまで、メタボリックシンドロームの原因は、エネルギーの過剰摂取、動物性油脂に多い飽和脂肪酸の過剰摂取などが主な要因であると考えられてきた。しかし、最近になって、砂糖の取りすぎが主要な原因のひとつであることがわかってきた。実際には、食品に元から含まれている糖ではなく、後から添加する糖(加糖)の過剰摂取が問題と考えられている。いわゆる異性化糖などの砂糖を構成するフルクトース(果糖)が原因であることはわかっているが、ジュースやお菓子などの取りすぎが問題と考えられている。そのため、2015年にWHOは1日の砂糖の摂取を、摂取エネルギーの5%未満、小さじ6杯分相当(約24g)にするよう指針を出した。
肝臓脂質代謝のリズムの振幅が重要
これまで、砂糖の過剰摂取の問題は、そのメカニズムが明らかにされていないため、あまり問題視されてこなかった。研究グループは、時間栄養学的研究によって、肝臓脂質代謝のリズムの振幅が重要であることを突き止めたという。そこで、摂食時間を日中の活動時間帯だけに制限することで、砂糖の過剰摂取による脂質代謝異常が改善されると考え、夜行性のラットを用いて、ラットの活動時間帯のみに砂糖を与える実験をした。これは、人では、日中の活動時間帯にあたる。その結果、砂糖の過剰摂取によって起きる脂肪肝や高中性脂質血症が改善されたという。
研究グループは、昼夜を問わず、四六時中食べていると、高コレステロール血症が起きることを報告している。逆に、メリハリのある摂取法として、「時間制限摂取」(主に日中に限って食事をする)をすることによって、高脂肪食による肥満なども改善することも、すでに報告されている。今回の研究成果は、砂糖によるメタボリックシンドローム予防にも時間制限摂取が有効であることを示すもの。摂取する時間帯の調整により、砂糖の取りすぎによるメタボリックシンドロームの予防が期待されると研究グループは述べている。
▼関連リンク
・名古屋大学 プレスリリース