国立国際医療研究センター病院AMR(薬剤耐性)臨床リファレンスセンターは、2017年の抗菌薬販売量が調査開始時の13年から7.8%減少したと発表した。抗菌薬販売量は、数年にわたって横ばい傾向が続いていたが、昨年は経口セファロスポリン系薬など経口薬を中心に減少した。同センターは、セミナーやポスターによる啓発など、AMRに対する20年までの国の具体的な行動計画を示した「AMR対策アクションプラン」に取り組んだことが今回の成果につながったと見ている。
今回の調査では、人口1000人に対して1日で販売された注射・経口の抗菌薬の合計量を「1DID」で示した。それによると、17年の販売量は13.78DIDで、調査を開始した13年の14.95DIDより1.17DID(7.8%)減少した。
種類別に見ると、経口セファロスポリン系薬が14.2%、経口マクロライド系薬が13.5%、経口キノロン系薬が9.1%の順に減少した。投与経路別では、非経口薬が前年比でほぼ横ばいだったものの、経口薬が大幅に減少した。
同センターは、13年から16年までの販売量が横ばい傾向にあった中、昨年に減少した理由について「因果関係は不明」としながらも、「16年にアクションプランが策定され、セミナーやイベント、ポスターによる啓発活動に取り組んだことなどが今回の結果につながったのではないか」と分析している。
同センターは、アクションプランの内容を進めるため、厚生労働省の委託事業として昨年4月に設置。具体的には、抗菌薬使用量などに関する調査で収集した情報を元に地域連携の支援や耐性菌のアウトブレイク対策などを行う臨床疫学事業、AMRに関する教育啓発を目的とした研修の提供など情報・教育支援事業を実施している。