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【厚労省】コロナ抗体薬を特例承認-「曝露前の発症抑制」は初

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2022年09月02日 AM10:15

厚生労働省は8月30日、アストラゼネカの新型コロナウイルス感染症治療薬「」(一般名:)を特例承認した。コロナ治療薬として国内で9番目で、新型コロナウイルス感染症に対する治療に加え、曝露前の発症抑制の効能・効果を取得した初の薬剤となる。ただ、感染症予防の基本はワクチンであることから、厚労省は発症抑制を目的とした投与については「ワクチンに置き換わるものではない」とし、ワクチン接種が非推奨、接種後に十分な免疫応答が得られない人に限定する方針だ。

エバシェルドは、新型コロナウイルスに感染し回復した患者により提供されたB細胞に由来する2種類の長時間作用型抗体「チキサゲビマブ」と「シルガビマブ」の併用療法。新型コロナウイルスのスパイク蛋白質の異なる部位に同時に結合することで、作用の持続性が従来型の抗体に比べ3倍以上になるとされ、第II相試験データでは6カ月間効果が持続することが示されている。同社が6月に国内申請し、8月29日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で特例承認することが了承されていた。

同剤が新型コロナウイルス治療薬で承認を取得するのは日本が世界初となる。投与対象は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない軽症から中等症Iの患者となる。

オミクロン株BA2系統に対しては有効性が維持されているとした一方、BA4、BA5系統については、同剤の有効性が減弱する恐れがあることから、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討するとした。

一方、感染症の発症抑制では、臨床試験でプラセボに比べ発症割合を77%減少させる効果を確認した。ワクチン接種が推奨されない人、免疫機能低下などによりワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある人に投与する。

具体的には、日本感染症学会ガイドラインで示された免疫不全症の患者、抗癌剤の投与を受けた患者、臓器移植を受けた患者などが対象となる。

一方、新型コロナウイルス感染症患者の濃厚接触者に対しては、発症抑制の有効性が示されていないため、患者の同居家族や濃厚接触者について投与対象から除外した。

国が買い上げ、配分対象医療機関に無償譲渡されるが、エバシェルドは全世界で供給量が限られ、日本での流通量も限定されている状況。厚労省では、発症抑制で用いる場合のために約15万人分の備蓄を確保している。

■コミナティ一変承認‐5~11歳の追加免疫

また、ファイザーの新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注5~11歳用」に対する追加免疫の用法・用量追加についても承認した。

用法・用量は、同ワクチンを日局生理食塩液1.3mLで希釈し、追加免疫の場合、1回0.2mLを筋肉内に接種する。

海外臨床試験では、初回免疫として同ワクチン2回接種を受けた5~11歳の被験者に対し、2回目接種から少なくとも6カ月経過後に3回目を接種した結果、3回目接種後の中和抗体価は2回目接種後よりも高かった。

12歳以上と同じく、5カ月以上の間隔で接種が可能となる。

 

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