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BCGワクチン接種義務化の国で、新型コロナの拡散率が低下する可能性-京大ほか

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2020年08月26日 PM01:15

国単位でのBCGワクチン接種義務化と、新型コロナ拡散率は関連?

京都大学は8月25日、BCGワクチン接種義務の制度化が新型コロナウイルスの拡散率を低下させる可能性を示唆したという研究結果を明らかにした。これは、同大こころの未来研究センターの北山忍特任教授(米ミシガン大学教授)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Science Advances」に掲載されている。


画像はリリースより

新型コロナウイルスによる感染者数や死亡者数は国ごとに大きく異なる。この事実の説明要因として、BCGワクチン接種義務の制度が関わっているのではないかと議論されている。例えば、日本は、米国より感染者数、死亡者数の両方で格段に低いことはよく知られている。一方、米国はBCGワクチン接種義務を制度化したことがないのに対し、日本はそのような制度が戦後一貫して存在している。しかし、現在のところ、国際比較データの分析に伴う方法的問題から結論は明らかではない。とりわけ、感染者数や死亡者数の報告に関わるバイアスが結果に影響している可能性がある。また、個々の国は非常に多くの次元で異なるため、そのような交絡要因をできる限り排除し、できるだけ多くの国を比較することが必要だ。

BCGワクチン接種義務化の国は、感染者数、死者数共に増加率が有意に低い

研究グループは、国ごとの流行初期30日間における感染者数と死者数の増加の割合に注目することにより報告バイアスの効果を排除し、さらに、さまざまな交絡要因を統計的に統制した上で、少なくとも2000年までBCGワクチンを義務付けてきていた国とそうでない国、計130数か国の比較を試みた。

その結果、BCGワクチンの接種を少なくとも2000年まで義務付けていた国々では、そうでない国々と比べて、感染者数、死者数共に増加率が有意に低いことを見出した。さらに、同様の結果は、期間を流行の初期15日間に設定した場合にも確認された。

先の通り、米国ではBCGワクチン接種義務を制度化したことはないが、仮に接種義務を数十年前に制度化していれば、2020年3月30日における死亡者総数は、667であっただろうと推定された。これは実際の数(2,467)の約27%にあたる。

今回の研究成果は、BCGワクチンの接種義務を制度化することにより、新型コロナウイルスの流行を抑制できるという可能性を示している。しかし、BCGワクチンの接種は従来幼年期になされており、これが大人にも有効であるか、また、新型コロナウイルスに罹患している場合に逆効果にならないかなどの問題は今後注意深く検討する必要がある。さらに、BCGワクチンの効果は、特定集団の大多数が免疫を獲得した場合に特に顕著になる可能性がある。これは、集団免疫効果と呼ばれているが、この効果があるとすると、たとえある個人がワクチン接種を受けても、集団内の他者も受けない限り大きな効果は期待できないことが推測される。「今後、各国ごとに、このような制度を採用・維持するための議論が必要になると考えられる」と、研究グループは述べている。

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