京大病院、徳島大病院、北里大病院、鳥取大病院で実施
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は4月23日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象とした医師主導治験を開始したと発表した。この研究は、CiRAの井上治久教授らが、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象としたボスチニブ第1相試験」として計画してきたもの。2019年3月1日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届を提出し、京都大学医学部附属病院(治験責任医師・脳神経内科髙橋良輔教授)、徳島大学病院(治験責任医師・神経内科和泉唯信特任講師)、北里大学病院(治験責任医師・脳神経内科永井真貴子講師)、鳥取大学医学部附属病院(治験責任医師・脳神経内科渡辺保裕講師)にて、3月18日より治験を開始する運びとなった。
ALSは、運動ニューロンが変性して筋萎縮と筋力低下を来す進行性の疾患。治療薬としては、リルゾールやエダラボンが使用されている。しかし、現状では根本的治療が難しい疾患であり、さらなる治療薬の開発が求められている。
慢性骨髄性白血病の治療薬ボスチニブのALSに対する安全性・忍容性を評価
CiRAの井上教授らは、ALS患者由来のiPS細胞を運動ニューロンへ分化させ、その細胞を用いて、既に他の疾患で治療薬として用いられている物質を含むさまざまな種類の化合物の中から運動ニューロンの細胞死を抑えることができる化合物のスクリーニングを実施。その結果、細胞死を防ぐ物質として「ボスチニブ」を同定し、報告した。
ボスチニブ(販売名:ボシュリフ(R)錠)は、前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病の治療薬として用いられている既存薬だが、ALSの病態である、細胞内の異常タンパク質蓄積を抑制する働きと運動ニューロンの細胞死を抑制する働きを示すことが、ALS患者のiPS細胞モデルとALSモデルマウスで認められている。
今回の治験は、ALS患者に対するボスチニブの安全性および忍容性を評価することを目的として実施される多施設共同の非盲検試験。対象は、発症後2年以内の20~80歳未満の孤発性ALS患者(重症度1~2度)で、1日1回、12週間にわたってボスチニブを内服する。目標症例数は24例としている。
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