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仮設住宅に入居している被災者の社会参加と健康状態の関連性を解明-東北大

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2018年11月15日 PM01:15

仮設住宅の違いによる社会参加と健康状態への影響を調査

東北大学は11月13日、宮城県が2012年に実施した仮設住宅入居者を対象とした健康についてのアンケート調査のデータを分析し、健康状態と社会参加の関連を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科国際歯科保健学分野の相田潤准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、疫学の国際科学雑誌「Journal of Epidemiology」の電子版に掲載されている。


画像はリリースより

東日本大震災では津波により多くの人々が家を失い、仮設住宅に入居することになった。仮設住宅には大きく分けて「プレハブ仮設住宅」と、民間の賃貸物件に入居してもらい、その賃料を政府が補助する「みなし仮設住宅」の2種類がある。プレハブ仮設住宅ではボランティアや自治体によりイベントなどの催し物がより頻繁に開催されており、社会参加の機会が多かったと考えられる。今回の研究では、この2種類の仮設住宅における、社会参加と被災者の健康状態との関連がどのように異なるのかを明らかにした。

社会参加の機会が多いプレハブ仮設住宅でより良い結果に

今回の研究は、2012年に宮城県が県内の応急仮設住宅入居者に対して実施した「応急仮設住宅等(プレハブ・民間賃貸住宅)入居者健康調査」の結果を用いて行われた。質問紙を送付したプレハブ仮設住宅の入居者1万5,979世帯中9,369世帯(58.6%)、みなし仮設住宅の入居者2万2,172世帯中1万4,124世帯(63.7%)から回答が得られた。

従属変数としては、主観的健康観および心の健康を測定する尺度であるK6によって評価したメンタルヘルスを用い、独立変数として社会参加の有無を用いた。解析は、多変量ロジスティック回帰分析を用いてオッズ比を算出し、その結果を用いて人口寄与割合(社会参加が良い健康状態に寄与している割合を示す)を算出。その際、交絡因子(性別、年齢、職業、既往歴、同居者の人数)の調整を行った。

解析に含まれたプレハブ仮設住宅入居者1万9,726人の平均年齢は、57.6歳(SD=18.0)、みなし仮設住宅入居者2万8,270人の平均年齢は51.7歳(SD=18.4)。社会参加している人の割合はプレハブ仮設住宅で38.2%、みなし仮設住宅で15.4%だった。多変量ロジスティック回帰分析の結果、交絡因子を調整した上でも社会参加は良い健康状態と関連していた。社会参加があることの良い健康状態への人口寄与割合を仮設住宅ごとに算出したところ、プレハブ仮設住宅では良い主観的健康観に対して39.5%、良いメンタルヘルスに対して47.1%であった一方、みなし仮設住宅ではそれぞれ14.4%、19.5%だったという。

これらの結果から、仮設住宅入居者においても社会参加があることと良い健康状態との関連がみられた。社会参加をしている者はプレハブ仮設住宅入居者で多いことから、このことが入居者の良好な健康状態の維持に寄与していた可能性が示唆されたとしている。

研究グループは、「本研究により、震災後の継続的なボランティアや自治体による社会参加の機会の提供が被災者の健康状態の維持に寄与していた可能性を示唆することができた」と述べている。

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