オフ症状を必要に応じて一時的に改善するレスキュー薬
大日本住友製薬株式会社は1月30日、米国子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インクが米国で開発中のアポモルヒネ塩酸塩を有効成分として含有する舌下投与のフィルム製剤(開発コード:APL-130277)が、運動症状の日内変動(オフ症状)を伴う成人のパーキンソン病を対象としたフェーズ3試験(CTH-300試験)において、主要評価項目および重要な副次的評価項目を達成し、総じて良好な忍容性を示したことを速報として発表した。
APL-130277は、アポモルヒネ塩酸塩(ドパミン作動薬)を有効成分として含有する新規の製剤。パーキンソン病に伴うオフ症状を必要に応じて管理するために、即効性があり簡便に服用できる舌下投与のフィルム製剤として開発されている。アポモルヒネ塩酸塩は、進行性のパーキンソン病に伴うオフ症状を必要に応じて一時的に改善するレスキュー薬として、唯一承認されている有効成分だが、米国では皮下投与の注射剤しか承認されていない。
同剤は、起床後に服用することができるとともに1日5回まで服用することができ、新しく、簡便で目立たない製剤として設計された。同剤は、パーキンソン病の患者を速やかに、安全に、信頼性高く、オフ状態からオン状態にすることができる可能性があるとしている。
MDS-UPDRS Part IIIスコアの平均変化量を有意に改善
CTH-300試験は、レボドパに反応を示すオフ症状を伴うパーキンソン病患者を対象に、同剤の有効性、安全性および忍容性を評価するために実施した、12週間のランダム化、プラセボ対照二重盲検比較フェーズ3試験。109名の成人のパーキンソン病患者が参加し、同剤投与群は、プラセボ投与群と比較して主要評価項目である投与開始から12週間後における投与30分後のMDS-UPDRS Part IIIスコアの投与前からの平均変化量を統計学的に有意に改善し、その効果は最後の観察時間である投与90分後まで持続したという。同剤投与群とプラセボ投与群の投与30分後におけるMDS-UPDRS Part IIIスコアのベースラインからの変化量の差は、7.6(p=0.0002)だったという。
また、重要な副次的評価項目である投与開始から12週間後における投与後30分以内のオン状態の患者の割合(予測値)についても、同剤投与群(35%)はプラセボ投与群(16%)と比較して、統計学的に有意に大きな割合を示した。同試験の詳細については解析中であり、サノビオン社は今後、試験データを学会で発表する予定だという。
さらに同社は、この試験データを基に米国での新薬承認申請を準備中であり、2018年春の申請を予定している。なお、同剤は、FDAよりファスト・トラック指定を受けている。
▼関連リンク
・大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース