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直接作用型抗ウイルス剤によるC型慢性肝炎治療で乾癬症状が軽快-大阪市大

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2018年01月18日 PM12:15

インターフェロンでは免疫疾患を悪化させる可能性が

大阪市立大学は1月16日、C型慢性肝炎に対し直接作用型抗ウイルス剤で治療した症例で、合併していた乾癬の症状が軽快したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科肝胆膵病態内科学の榎本大准教授らの研究グループによるもの。この症例報告は、「Annals of Internal Medicine」に掲載されている。


画像はリリースより

C型肝炎治療では、長年インターフェロンが用いられてきた。しかし、インターフェロンは免疫を介して働くため、乾癬のような免疫異常が関与する疾患を悪化させる可能性があり、合併症を有するC型肝炎の治療は困難だった。また、C型肝炎の患者に免疫抑制療法を行う場合は、ウイルスを再活性化させる可能性があるため、注意が必要だ。

一方、2014年からはインターフェロンを用いない直接作用型抗ウイルス剤による治療で、100%近くの患者でC型肝炎ウイルスを排除できるようになった。直接作用型抗ウイルス剤を用いた治療は副作用も少ないため、高齢者や合併症を有する患者へのC型肝炎の治療が容易になっている。

塗り薬の必要量が激減、光線療法も中止可能に

今回、研究グループによって報告された症例は、10年以上前から乾癬を患っている80代男性。2015年から同大医学部附属病院皮膚科で塗り薬の治療と週1回の光線療法を継続していたが、改善はみられなかったという。また、乾癬だけでなくC型肝炎も患っていたことから、12週間の直接作用型抗ウイルス剤の治療を実施した。

その結果、ウイルス量が低下し、肝機能が改善。治療終了後もウイルスは再燃せず完全排除が確認されたという。また、乾癬の皮膚病変も改善し、塗り薬の必要量が激減、光線療法も中止が可能となり、患者のQOL向上に大きく寄与したとしている。

乾癬患者には、C型肝炎ウイルス感染率が高いことから、乾癬の発症または悪化にC型肝炎が関与する可能性が以前から指摘されていたが、実際に直接作用型抗ウイルス剤でC型肝炎ウイルスを排除した結果、乾癬の症状が軽快したという報告は世界で初めてだという。研究グループは今後、「C型肝炎と乾癬、または類似の免疫疾患の関係性の解明を進めたい」と述べている。

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