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U6 snRNA発現量回復でALSの神経細胞死を抑制-北大

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2017年11月17日 PM12:00

TDP-43の機能損失時に細胞内で起こる変化過程を調査

北海道大学は11月15日、)での神経細胞死を阻止する鍵となるRNA分子「」を同定したと発表した。この研究は、同大大学大学院先端生命科学研究院細胞機能科学分野の北村朗助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「PLOS ONE」で公開された。


画像はリリースより

ALSは、運動神経細胞が特異的に変性・脱落することで歩行や呼吸が困難となる進行性の難病。ALSの原因として、TDP-43の機能損失が知られている。TDP-43は、細胞生存や神経発生などに欠かせない遺伝子であることがわかっていたが、実際の細胞内で、TDP-43の機能損失からどのような過程で細胞死が起こるのかについては明らかになっていなかった。そこで研究グループは、TDP-43の機能損失時に、実際に細胞内で起こる変化の過程を調査した。

U6 snRNA発現量の回復で、スプライシング異常状態一部が正常化

研究グループは、RNA干渉法を用いて、TDP-43の機能を阻害した細胞では核内低分子RNAのひとつであるU6 snRNAの発現量が減少していることを突き止めたという。TDP-43とU6 snRNAが実際に結合していることも確認。さらに、TDP-43の機能を阻害した細胞にU6 snRNAの発現遺伝子を導入し、U6 snRNA量を回復させると、細胞生存率が上昇したという。

TDP-43の機能阻害により、転写産物のスプライシング状態に異常が起こることが知られているが、今回の研究ではU6 snRNA発現量を回復させると、正しいスプライシング状態の転写産物が増加することが判明。しかし、完全に元のスプライシング状態まで回復させることはなく、スプライシング異常状態を回復できない転写産物も見られ、U6 snRNAにより校正できるスプライシング状態は限られることもわかったという。このことから、U6 snRNAによる細胞死の阻止には、スプライシング状態の校正とは異なる他の機構が介在していることが考えられるとしている。

今回の研究成果について、研究グループは、ALSの原因であるTDP-43の機能損失時に起こる細胞死の過程を明らかにしたものであり、U6 snRNAがTDP-43機能損失時に起こる神経細胞死に対し緩衝作用を持つということは、将来的なALSの治療戦略を立てる上で基盤となり得る、と述べている。

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