新規作用機序と選択的な抗菌スペクトルを有する経口の大環状抗菌剤
アステラス製薬株式会社は7月31日、「フィダキソマイシン」(一般名)について、偽膜性大腸炎を含む感染性腸炎(適応菌種:同剤に感性のクロストリジウム・ディフィシル(CD))の適応症で、国内での製造販売承認申請を行ったことを発表した。
フィダキソマイシンは、米Merck & Co., Inc.より導入した新規の作用機序と選択的な抗菌スペクトルを有する経口の大環状抗菌剤。米国ではCD関連下痢症、欧州ではCD感染症治療薬として販売されている。国内では、アステラス製薬がMerck社との独占的開発・販売契約に基づき開発を進めてきた。また、同社の子会社であるアステラス ファーマ ヨーロッパLtd.が欧州、中東、アフリカ、独立国家共同体(CIS)の地域における独占的販売権を取得している。
腸内細菌バランスを攪乱する作用が弱く、芽胞形成を阻害
CDは、大腸内部に感染し毒素を産生する細菌で、院内感染や抗菌薬関連腸炎の起因菌として問題となっている。感染・増殖により大腸炎や重篤な下痢を発症し、最悪の場合は死に至る。腸内細菌が正常に発育している環境ではCDに感染しても増殖は抑制されるが、他疾患の治療のために抗菌スペクトルの広い抗菌剤を服用すると腸内細菌のバランスが崩れ、CDが異常増殖することがある。国内ですでに承認されているCDによる感染性腸炎治療薬では、再発など治療に難渋する例が報告されていることから、新たな治療選択肢が求められている。
フィダキソマイシンは、CDに対して強い抗菌活性を持つほか、狭域抗菌スペクトラムのため、他の腸内細菌のバランスを攪乱する作用が弱く、芽胞形成を阻害するなどの作用を持つという。
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・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース