不明だった高齢期の歯の本数と要介護期間との関連
東北大学は6月28日、高齢期に保持できている歯の本数が多い人は、健康で長生きであることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科の松山祐輔歯科医師らによるもの。研究成果は、米科学誌「Journal of Dental Research」に掲載された。
画像はリリースより
歯が多いと死亡率が低いことや要介護になりにくいことは先行研究で示されているが、要介護でいる期間との関連が明らかでなかった。そこで研究グループは、要介護になる前の歯の本数と、寿命・健康寿命・要介護でいる期間の関連を目的とする調査を行った。
要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を3年間追跡
この研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)が2010年に行った全国24自治体の要介護認定を受けていない65歳以上高齢者を3年間追跡したデータを分析したもの。同調査では、歯の本数を0本、1~9本、10~19本、20本以上の4つに区分し、回答してもらった。その後、自治体のデータベースから死亡日および要介護度2以上の認定日を取得し、調査データとリンクし、分析。なお、死亡や要介護発生に影響を与えそうなその他の要因の影響を取り除くため、分析は性別で層別化し、統計モデルにより、年齢、入れ歯の使用、教育年数、所得、既往歴、主観的健康感、転倒経験、喫煙、飲酒、歩行時間、BMI、うつなどの影響を調整した。
その結果、歯が多いと、単に寿命が長いだけではなく、健康寿命も長く、さらに要介護でいる期間が短いということが明らかになった。その差は85歳以上でもっとも大きく、歯が20本以上ある人は、0本の人にくらべて健康寿命が男性で+92日、女性で+70日、寿命が男性で+57日、女性で+15日、要介護でいる期間は、男性で-35日、女性で-55日の差があったという。
今回の研究により、歯の健康を保つことが、健康寿命の延伸と要介護でいる期間の短縮に寄与する可能性が示唆された。厚生労働省が提唱する健康日本21(第二次)では、健康寿命の延伸と、寿命と健康寿命の差を小さくすることが目標として掲げられている。今回の成果は、これに寄与するものとして期待される。
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