医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 思春期早発症の新たな原因、PROKR2遺伝子変異を同定-成育センター

思春期早発症の新たな原因、PROKR2遺伝子変異を同定-成育センター

読了時間:約 1分13秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年04月12日 PM01:30

思春期遅発症の原因遺伝子として知られるPROKR2

国立成育医療研究センターは4月7日、思春期早発症患者においてPROKR2遺伝子変異を同定したと発表した。この研究は、同センター分子内分泌研究部の鈴木研究員、深見部長らのグループが、薬剤治療研究部の山内室長、浜松医科大学小児科の緒方教授らのグループと連携して行ったもの。研究成果は、「Journal of Cellular and Molecular Medicine」にて論文発表されている。


画像はリリースより

ヒトには約750のGタンパク共役型受容体(GPCR)があり、ホルモン分泌調節や感覚受容を含むさまざまな生体内機能に関与している。PROKR2は、GPCRの1つで、脳におけるホルモン分泌制御に関与している。PROKR2遺伝子は、思春期遅発症の原因遺伝子としてよく知られていた。

変異タンパクが正常タンパクの機能を亢進

今回同定された変異タンパクはシグナル伝達能を喪失していたが、同じ細胞内に存在する正常なPROKR2タンパクの機能を高める作用があることが見出されたという。患者は正常なPROKR2と変異のあるPROKR2の両方を持っていたことから、変異タンパクが正常タンパクの機能亢進を介して過剰ホルモン分泌を招いたと考えられる。

思春期早発症患者の中には原因不明の人も多く、このような患者の発症原因の一部にはPROKR2変異があると推測される。今回の情報は、思春期早発症患者の診療に役立つものと期待される。

また、これまでGPCRの機能亢進を招く変異はごく少数しか知られておらず、これらはすべて異常なシグナル伝達能を有するタンパクを作るものだった。今回同定されたPROKR2変異と同様の奇異性機能亢進メカニズムは、他のGPCR遺伝子にも生じると推測される。したがって、今回の成果はGPCR機能亢進に起因する新たなヒト疾患の解明につながる可能性がある、と同研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 前立腺がん、治療決定時SDMが患者の治療後「後悔」低減に関連-北大
  • 糖尿病管理に有効な「唾液グリコアルブミン検査法」を確立-東大病院ほか
  • 3年後の牛乳アレルギー耐性獲得率を予測するモデルを開発-成育医療センター
  • 小児急性リンパ性白血病の標準治療確立、臨床試験で最高水準の生存率-東大ほか
  • HPSの人はストレスを感じやすいが、周囲と「協調」して仕事ができると判明-阪大