アミロイドβの脳血管への蓄積を抑制する物質を発見
国立循環器病研究センターは4月4日、アルツハイマー病を発症する老廃物アミロイドβ(Aβ)の脳血管への蓄積を抑制する物質を突き止めたと発表した。この研究は、同センター研究所再生医療部の齊藤聡流動研究員と病院脳神経内科の猪原匡史部長らの研究チームによるもの。研究成果は、英国の専門誌「Acta Neuropathologica Communications」に同日付けで掲載された。
画像はリリースより
日本人の認知症の大半を占めるアルツハイマー病は、長らく原因不明とされてきたが、最近の研究で、Aβが脳血管へ蓄積する脳アミロイド血管症が一因であることが明らかになっている。しかし、これまでのアルツハイマー病研究は神経細胞の病態研究が中心であり、脳アミロイド血管症に焦点を当てた治療開発研究は十分になされていなかった。
認知症新規治療薬として2017年度中に治験開始予定
研究チームは、Aβが蓄積してできるAβオリゴマーが初期の脳アミロイド血管症の主因であると仮定。アミロイド凝集抑制作用を有するタキシフォリンを脳アミロイド血管症モデルマウスに投与して、タキシフォリン非投与のモデルマウスおよび正常マウスと比較した。その結果、タキシフォリン群において脳内のAβオリゴマー量は大幅に減少し、脳血流量や認知機能も正常に近い状態まで回復することが明らかになったという。
今回の研究により、タキシフォリンを投与することで脳内Aβが減少しただけでなく、認知機能障害も回復させられることが明らかになり、アルツハイマー病の有効な治療薬候補となると考えられる。研究チームは、認知症新規治療薬としてヒトへの効果を確認するため、2017年度中の治験開始と2025年中の臨床応用を目指すとしている。
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・国立循環器病研究センター プレスリリース