JCOGとEORTCとの初の国際共同臨床研究
国立がん研究センターは2月1日、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)とEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)と共同で、大腸がんの肝転移病変に対する画像診断の国際共同研究「DREAM study」を開始すると発表した。
画像はリリースより
国立がん研究センター中央病院は、2016年度より日本医療研究開発機構(AMED)の「国際共同臨床研究実施推進事業」の拠点のひとつに選定されており、国際共同臨床研究に積極的に取り組んでいる。がんの多施設共同臨床研究グループであるJCOGの中央支援機構(データセンター/運営事務局)を担い、JCOGとして2012年からは米国のNorth Central Cancer Treatment Group/Cancer and Leukemia Group B(NCCTG/CALGB)と、2008年からは韓国胃がん学会と共同研究を実施。今回、欧州でのがんの多施設共同臨床研究を主導するEORTCと共同で国際共同研究を開始するに至ったという。
同研究は、JCOGとEORTCとの初の国際共同臨床研究。欧州7か国から16施設、日本からは神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンターと国立がん研究センター中央病院など12施設、米国からも2施設が参加する。3年間で計400名を登録、評価し、5年後の2022年に研究結果の公表を目指すという。
腫瘍細胞遺残の有無を画像診断で予測可能か検討
DREAM studyは、化学療法後に画像上消失したと診断された大腸がんの肝転移病変を対象として、数種類のMRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像)とCT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)を用いることで、腫瘍細胞遺残の有無を予測可能かどうか評価する。
大腸がんの肝転移における外科的切除は、化学療法などで腫瘍を縮小させ、可能であれば切除する方針が採られることが一般的。近年、画像診断の向上に伴い、術前の画像診断から実際の腫瘍細胞の有無をより高い確率で予測することができる可能性がでてきており、外科的切除前の画像診断で腫瘍の遺残を高い確率で正しく予測できれば、腫瘍細胞が遺残していないと判断される場合には外科的切除を行う必要がなく、低侵襲治療の確立につながることが期待されている。
EORTCとJCOGは、DREAM studyのほかにも新たな国際共同研究を計画中。また、research fellowなどの人材交流も行うことで、相互理解と連携を深めているという。国立がん研究センターとJCOGは、日本におけるがん臨床研究の国際展開を今後も積極的に進め、日本発の新規治療法開発の推進において中心的な役割を果たしていくとしている。
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・国立がん研究センター プレスリリース