有効な治療法のない超希少疾患
米アレクシオン・ファーマシューティカルズは1月9日、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の難治性全身型重症筋無力症(gMG)患者の治療薬として、「ソリリス(R)」(一般名:エクリズマブ)の適応を拡大するため、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)に承認申請を行ったことを発表した。米国および欧州連合(EU)での承認申請は、第3相REGAIN試験の総合的なデータに基づくもの。
重症筋無力症(MG)は補体介在性の消耗性神経筋疾患。なかでも抗AChR抗体陽性の難治性gMGは超希少疾患とされている。難治性gMG患者は、MGに対して現在利用可能な治療があっても重症化し、これまで有効な治療法はない。
承認されれば、重大なアンメットニーズを満たすと期待
同剤は、同社が研究開発から承認、上市までを行ったファースト・イン・クラスの終末補体阻害剤。2007年に米国とEU、2010年に日本およびその他の国々の規制当局から、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者に対する溶血を抑制する最初で唯一の治療薬として承認を受けている。PNHは、補体介在性溶血(赤血球細胞の破壊)を特徴とする、生命を脅かす超希少かつ消耗性の血液疾患。
また同剤は、2011年には米国とEU、2013年には日本およびその他の国々において、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の患者に対する補体介在性血栓性微小血管症、つまりTMA(微小血管の血栓)を抑制する最初で唯一の治療薬としても承認を受けている。aHUSは補体介在性TMAを特徴とする、超希少かつ致命的な消耗性の遺伝性疾患。
同剤はMG患者の治療薬として、米国およびEUにおいて希少疾病用医薬品指定(ODD)を取得しているが、同剤が難治性gMG患者の治療薬として承認されている国はない。今後同剤の新たな適応が承認されれば、従来の治療法を尽くしても症状が持続する難治性gMG患者の重大なアンメットニーズを満たすことができると期待される。
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・アレクシオンファーマ合同会社 プレスリリース