米国でのALS患者3万人、年間5,600人以上が発病
田辺三菱製薬株式会社は8月30日、エダラボン(日本製品名:「ラジカット(R)点滴静注バッグ30mg」)について、米国食品医薬品局(FDA)より、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を適応症とする承認申請が受理されたと発表した。
画像はリリースより
ALSは、運動神経が選択的に変性・脱落する進行性の神経変性疾患。症状は、筋萎縮と筋力低下が主体で、初期の症状は、線維束性収縮、痙縮、こわばり、手足の筋力低下、鼻声、飲み込み難さなどがある。病状が進行すると上肢の機能障害、歩行障害、構音障害、嚥下障害、呼吸障害などを生じる。症状の進行は比較的急速だが、個人差が非常に大きいともいわれている。
人種や民族的背景、職業や生活環境とは関係なく発症し、ALS患者の90~95%は遺伝による発症ではないと考えられている。その他、さまざまな原因が考えられているが、いまだ結論は出ていない。しかし、遺伝子異常、酸化ストレスやグルタミン酸過剰による神経障害といった原因説が提唱され、遺伝子研究をはじめとする基礎研究、そして治療薬の開発が目覚ましい進展を見せている。ALSの発病率は10万人に2人。米国での患者数は3万人程度で、年間5,600人以上が発病している。
審査終了目標は2017年6月16日
エダラボンは、同社が創製したフリーラジカル消去剤であり、脳梗塞急性期の治療薬として、2001年4月に厚生労働省から承認された。脳虚血に伴い発生するフリーラジカルを消去し、脂質過酸化反応を抑制し、虚血領域、あるいはその周囲の神経細胞を保護する作用を有することから、ALSの病態で上昇するフリーラジカルを消去して運動ニューロンを酸化ストレスから保護し、筋萎縮の進行を遅らせる効果を有すると考えられている。また、2015年12月には韓国でも販売許可を取得している。
FDAは、エダラボンについてALSの治療薬として承認申請を受理するとともに、処方せん薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act:PDUFA)に基づく審査終了目標日(PDUFA date)を2017年6月16日に指定。この承認申請の受理は、提出した承認申請資料が本格的な審査を行うための要件を満たしていると認めたもの。今回の承認申請は、日本で行った臨床試験のデータを基にしており、承認された場合は、MT ファーマ アメリカが米国にて販売する予定としている。
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