PFS・TTFともにアファチニブが有意に改善
2015年、シンガポールで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)Asia 2015 Congressで発表された、EGFR変異陽性の進行性非小細胞肺がんに対する分子標的治療薬のジオトリフ(一般名:アファチニブマレイン酸塩)とイレッサ(一般名:ゲフィチニブ)の効果を直接比較した世界規模の無作為非盲検第2b試験「LUX-Lung7(LL7)」の結果が3月14日付のThe Lancet Oncologyに掲載され、ジオトリフがイレッサに比べて無増悪生存期間(PFS)、治療成功期間(TTF)を有意に改善したことが改めて公表された。
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LL7ではカナダや欧州、オーストラリア、アジア(日本は未参加)の13か国の64施設でステージIIIb/IVの進行または転移に対して未治療でDel19欠損あるいはL858Rを有するEGFR変異陽性の非小細胞肺がん319例が登録された。対象症例をジオトリフ群160例(1日40mg)とイレッサ群159例(1日250mg)の2群に無作為に割り付け、主要評価項目をPFS、全生存期間(OS)、TTFとして比較検討を行った。副次評価項目は客観的奏効率、客観的奏効期間、病勢コントロール率、病勢コントロール期間、腫瘍縮小、患者報告アウトカムなど。ジオトリフ群とイレッサ群の患者背景は、女性の割合がややジオトリフ群で低かったものの(57%vs67%)、他では差がなかった。追跡期間中央値は27.3か月。
なお、ジオトリフ群では試験期間中に6%が1日50mgに増量された一方で、39%が30mgに減量、さらに全体の13%が20mgまで減量されている。
OS解析は未確定ながら、中間報告を発表
PFS中央値は、ジオトリフ群11.0か月、イレッサ群10.9か月、ハザード比は、0.73(95%信頼区間:0.57-0.95)であり、ジオトリフ群で有意に延長(p=0.017)。治療開始12か月時点でのPFS比率はジオトリフ群が47.4%、イレッサ群が41.3%,18か月時点ではジオトリフ群が27.3%、イレッサ群が15.2%、24か月時点ではジオトリフ群が17.6%、イレッサ群が7.6%。
TTFはジオトリフ群が13.7か月、イレッサ群が11.5か月で、ハザード比0.73(95%信頼区間:0.58-0.92、 p=0.0073)となり、ジオトリフ群でTTFは有意に延長した。なお、 OSはまだ確定に至っていないが同論文発表による中間解析時点での中央値は、ジオトリフ群が27.9か月、イレッサ群が25.0か月。ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.66-0.1.15、 p=0.33)。
副次評価項目の客観的奏効率はジオトリフ群70%、イレッサ群56%、オッズ比は1.87(95%信頼区間:1.18-2.99、p=0.0083)となり、ジオトリフ群で有意に高率だった。最も多くの患者が奏効を得られたのは投与開始から16週間以内。
grade≧3の有害事象として発現率が高かったものは、ジオトリフ群では下痢が13%、発疹/ざ瘡が9%、イレッサ群ではアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)/アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇が8%、発疹/ざ瘡が3%だった。