ACAMを増やしたマウスを高脂肪高蔗糖食で飼育する実験で判明
岡山大学は4月11日、メタボリックシンドロームと糖尿病の発症を予防する細胞接着分子「ACAM(エイキャム)」を特定したと発表した。この研究は、同大大学院医歯薬学総合研究科(医)腎・免疫・内分泌代謝内科学分野の和田淳教授、国立療養所邑久光明園の村上和敏内科医長(米シンシナティ大学研究員)らの研究グループによるもの。研究成果は、米科学雑誌「Diabetes」電子版に3月8日付けで掲載されている。
画像はリリースより
肥満では、過剰な食事摂取や運動不足により体内で消費しきれず余ったエネルギーが脂肪組織に脂肪として蓄積し、脂肪細胞が肥大化して大きくなる。脂肪細胞は、ホルモンなどの分泌因子を放出して全身の代謝を調節しているが、脂肪細胞が肥大化するとその機能に異常をもたらして、メタボリックシンドロームが発症。糖尿病、脂質異常症、高血圧を引き起こすと考えられている。
ACAMは、同研究グループが肥満ラットの内臓脂肪組織から2005年に発見した分子で、細胞同士の接着をつかさどる細胞接着分子。今回、同研究グループがACAMを増やしたマウス(トランスジェニックマウス)を高脂肪高蔗糖食で飼育したところ、メタボリックシンドロームや糖尿病を予防することが分かったという。
肪細胞同士がACAMで接着、「表層アクチン」を形成
同研究では、マウスの脂肪細胞で、脂肪細胞同士がACAMによって接着したところにアクチンと呼ばれる細胞内骨格分子が集まって「表層アクチン」を形成。ACAMによる細胞接着と表層アクチンの形成によって脂肪細胞の肥大化を抑制することで、肥満や糖尿病を予防する一連のメカニズムが判明したという。
メタボリックシンドロームや2型糖尿病に伴う虚血性心疾患、脳梗塞、慢性腎臓病の予防は、国民の健康増進のために極めて重要な課題。今後、ACAMを用いた新しい治療法の開発によって、メタボリックシンドロームや糖尿病を予防することで、虚血性心疾患や脳梗塞などの心血管疾患の発症を予防することで、健康寿命の維持・延長が期待されている。
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