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「タグリッソ」がEGFR T790M変異陽性転移非小細胞肺がん治療薬として承認取得-AZ

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2016年03月30日 PM01:30

EGFR-TKI耐性患者の60%にEGFR T790M遺伝子変異発生

アストラゼネカ株式会社は3月28日、「上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬()に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん()」を効果・効能とした「(R)40mgおよび80mg錠」(一般名:オシメルチニブメシル酸塩)の国内における製造販売承認を取得したことを発表した。

EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに有効な既存のEGFR-TKIは、多くの場合、治療開始して1~1年半ほどで薬剤耐性が生じ、病勢が進行する。病勢進行したEGFR-TKI薬剤耐性の患者の60%はT790M遺伝子変異を有しているが、T790M遺伝子変異に特化して開発された薬剤はこれまでなかった。このため、2次治療は化学療法とEGFR-TKIの再投与に限定され、患者の予後や治療の結果は満足できるものではなかった。有効な治療手段を緊急に必要とする患者の深刻な状況を鑑み、2015年7月に、日本肺癌学会と患者団体がタグリッソの早期承認を求める要望書を提出していた。

保険外併用療養費制度のもと、無償提供実施

タグリッソは、アストラゼネカが開発した1日1回投与の新規経口分子標的治療薬。既存のEGFR-TKIとは異なる新規の作用機序を有しており、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRチロシンキナーゼを不可逆的に阻害することから、EGFR-TKI薬剤耐性獲得患者の新たな治療選択肢となることが期待される。また、同剤は、野生型EGFRチロシンキナーゼに対する阻害作用が少なく、従来のEGFR-TKIに見られる下痢や皮膚症状などの副作用発現が軽減する可能性も考えられているという。

また、同剤はその審査過程において、米国食品医薬品局(FDA)からはBreakthrough Therapy(画期的治療薬)指定を、欧州医薬品評価委員会(CHMP)からは迅速審査の指定を受けており、いずれも第1相臨床試験開始後、短期間で製造販売承認を取得。日本においては、2015年8月の製造販売承認申請後、優先審査品目の指定を経て、およそ7か月で製造販売承認を取得した。

なお、アストラゼネカは、治療選択肢が限られているT790M耐性変異患者の緊急の要望に応えるため、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもとで、同剤の無償提供を実施。同剤の提供は、適正使用を徹底するため、無償供給を希望する同剤開発治験実施施設のうち、承認された適応、用法・用量に従ってのみ使用すること、同社が実施する市販直後調査・全例調査や適正使用推進などの各種安全対策に協力することに合意した施設に限定して実施する。また、同剤提供は製造販売承認取得日以降、各施設での準備が整った時点から開始し、薬価収載前日に終了するとしている。

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