高齢女性を対象としたサイクリング負荷試験から明らかに
信州大学は1月4日、5-アミノレブリン酸(ALA)とクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)を摂取することで、酸素消費量と二酸化炭素排出量を減少させ、血中乳酸値の上昇を抑制し、運動効率が上昇すると発表した。
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この研究成果は、同大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所の能勢博教授(学術研究院医学系)と、SBIホールディングス株式会社の子会社・SBIファーマ株式会社の研究グループによるもの。インターバル速歩トレーニング(IWT)に参加している高齢女性のサイクリング負荷試験で明らかになった。なお。同研究論文は、米学術誌「Journal of Applied Physiology」に1月1日付けで掲載されている。
酸素消費量と二酸化炭素排出量、血漿中乳酸値が有意に減少
運動効率は年齢と共に低下し、高齢者の日常基本動作を制限することが知られているが、この研究では、ALAとSFCの試験食の摂取が運動効率と自発的IWTの成績に及ぼす影響について、プラセボ対照二重盲検クロスオーバー法にて検討された。
12か月以上IWTを行い試験当時もIWTを実施していた65±3歳の10人の女性に対し、試験食またはプラセボを各々、2週間の無摂取期間を挟んで前後7日間、クロスオーバーで与えられた。また、試験食摂取前後の試験においては、室温27.0℃および湿度50%の環境下で段階的に負荷を漸増するサイクリング試験を実施。同試験では、酸素消費量、二酸化炭素排出量および血漿中乳酸値が測定され、さらに、試験食摂取期間の最初の6日間にはIWTの運動強度が加速度測定法で測定された。
その結果、試験食摂取期間においては、段階的サイクリング負荷試験実施中の酸素消費量と二酸化炭素排出量が、各々12%と11%、血漿中乳酸値は16%といずれも有意に減少したが、プラセボ摂取期間では全てに変動がなかった。また、トレーニング日数、早歩きの強度と時間は、試験食摂取期間の方が各々42%、102%、69%増加したという。
これらの結果から、試験食の摂取は、運動効率を上昇させ、これにより高齢女性のIWT成績を改善することが示されたとしている。ALA、SFC共にすでに食品や医薬品として利用されている化合物で、ヒトでの安全性も確認されており、これらを併用摂取することで、特に高齢者の日常生活を改善することが期待されると、研究グループは述べている。