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ジスフェルリン異常症引き起こす遺伝子背景、初めて明らかに-東北大

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2015年12月16日 PM01:00

次世代シークエンサーによる遺伝子解析を実施

東北大学は12月14日、遺伝性ミオパチーの1つであるジスフェルリン異常症を対象として、次世代シークエンサーによる遺伝子解析を行い、この疾患を引き起こす一連の遺伝子群を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科・神経内科学分野の青木正志教授らの研究グループが、同科遺伝医療学分野の新堀哲也准教授、青木洋子教授らと共同で行ったもの。同研究成果は、米神経学会誌「Neurology Genetics」オンライン版に12月10日付けで掲載されている。


画像はリリースより

ミオパチーは、病状の進行とともに筋力の低下や筋肉の萎縮が生じる筋変性疾患の総称で、筋ジストロフィーなどが含まれる。成人で発病する遺伝性ミオパチーのなかで患者数の多いものが、肢帯型筋ジストロフィーと遠位型ミオパチーだ。その中でも、DYSF遺伝子変異によっておこる肢帯型筋ジストロフィー2B型や三好型遠位型ミオパチーは「」と総称されている。

ジスフェルリンは、筋細胞膜の傷害後の傷害後の修復過程で重要な役割を持つタンパク質とされており、ジスフェルリン異常症の患者の骨格筋生検では、本来は筋細胞膜に存在するジスフェルリンが発現していない。ジスフェルリンの機能が失われることにより、筋細胞の炎症や変性が生じると考えられている。

東北大学神経内科および研究協力施設の仙台西多賀病院の髙橋俊明医師らは、これまでジスフェルリン異常症が疑われる160人のPCR-SSCP法によるDYSF遺伝子検査を行ってきたが、そのうちDYSF遺伝子に変異が確認できたのは約60%で、残りの患者では変異が確認されていなかった。変異が確認されなかった患者では、二次的にジスフェルリンの発現低下を起こす別の遺伝子の変異が関連していることが予想されていたが、従来の技術では、多数の遺伝子を網羅的に解析することが困難だった。

解析継続で筋細胞膜の修復障害の病的機序解明の可能性も

そこで、研究グループは、これらの患者を対象に、次世代シークエンサーを用いて筋疾患と関連することが知られている42遺伝子の翻訳領域を対象に遺伝子の配列決定(ターゲットリシークエンス解析)を行い、原因遺伝子を探索した。

その結果、解析した64人のうち新たに38人(59%)で、症状と関連が疑われる原因遺伝子変異を確認。実際に、骨格筋組織でジスフェルリン蛋白の発現の低下が確認されている90人の横断的解析では、その70%にDYSF遺伝子、10%にCAPN3遺伝子、5%に他の遺伝子(ANO5など)の変異を認めていた。

これらの結果から、ジスフェルリン異常症を引き起こす遺伝子の種類やその割合などの具体的な遺伝子背景が初めて明らかとなった。さらに解析を継続することで、ジスフェルリンの機能と密接に関わる新たな分子が明らかとなり、ジスフェルリン異常症の筋細胞膜の修復障害の病的機序が明らかとなる可能性がある。そして将来的な治療法の開発にもつながるものと期待されている。

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