当初見込みの1万人超を大きく上回る利用者数を記録
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーは9月3日、同社が開設した医療従事者向けのトレーニング施設「東京サイエンスセンター」の来場者が2015年7月末時点で2万2,000人を突破したと発表した。
今年8月6日に1周年を迎えたTSCは、国家戦略特区に指定されている殿町国際戦略拠点「キング スカイフロント」(神奈川県川崎市)内に位置し、低侵襲の外科手術シミュレーション装置、心臓・血管系疾患治療・筋骨格系治療トレーニングのシミュレーター、遠隔映像カンファレンスシステムなど、先進的な医療設備を擁している。
同社によると、TSCの来場者数は、今年7月末に2万2,000人を突破。開設1年間で、当初の見込みの1万人超を大きく上回る利用があったという。この背景には、患者の負担が少ない内視鏡外科手術が普及し、その医療機器やトレーニングに関心を持つ医療従事者が増加していることが挙げられる。
内視鏡外科手術の症例数は、2003年の年間約6万件から、2013年には約18万件と、10年間で約3倍に増加。開腹手術より難度が高いとされる腹腔鏡手術では、安全で適切な手技を身に付けるトレーニングの需要が高まっており、TSCでは日本の企業と共同で精巧な模擬臓器を開発し、実臨床と同様の訓練ができる環境を整えているという。
アジアからトレーニングを希望する医師も多数来場
来場した医師の診療科別では、直接手術に携わる機会の多い一般外科が最多となった。一方、5割近くがそれ以外の診療科で、整形外科、脳神経外科、産婦人科、心臓外科、胸部外科、泌尿器科、循環器科、糖尿病科など多岐にわたっているという。TSCでは、腹腔鏡、胸腔鏡向けプログラムをはじめ、X線を使った整形外科のプログラムや心臓カテーテル室と呼ばれるX線の造影装置を使った血管内治療のプログラム、糖尿病のケア推進の研修など、さまざまなトレーニングを提供。こうした特性が、多様な診療科の医師の受け入れにつながっていると考えられる。
また、来場した医療従事者の職種別でみると、医師以外に、看護師などのコメディカルも3割弱を占めていたという。総合的な医療を実践するチーム医療の重要性が叫ばれている昨今において、複雑化、高度化する医療機器を使用した治療では、医師とコメディカルの連携は欠かせなくなっており、このようなニーズに応えている。
TSCでは、アジアと日本の医師・研究者が交流し、学べるプログラムを英語で提供。そのため、世界的にも評価が高い日本の外科医の技術を学びたいと、アジアからトレーニングを希望する医師も多数来場しているという。
同社は、今後も多岐にわたる医療従事者向けプログラムを通して、医療機器の安全適正使用を推進し、患者が高度な医療を安心して受けられるよう支援していきたいとしている。