治療が複雑で根治が難しい超多剤耐性結核に有望
大塚製薬株式会社は7月16日、「デラマニド」(製品名:欧州「DELTYBA(TM)/日本「デルティバ(R)」)の有効性を評価した臨床試験(フェーズ2b)後のサブセット解析で、超多剤耐性結核(XDR-TB)の治療に対するデータが「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌」(Letter to the Editor)に掲載されたことを発表した。
WHOによると、結核は、単一の感染性病原体としてHIV/AIDSに次いで世界で2番目に多い死亡原因である。2013年には、推定900万人が結核を発症し、150万人が結核を原因として亡くなっている。多剤耐性結核に対する現在の治療レジメンでは、複数の薬剤を少なくとも2年間、更なる薬剤耐性がある場合はより長期間服用する必要がある。2013年には、約48万人が多剤耐性結核を発症しているという。
なおWHOが定義する超多剤耐性結核とは、結核治療の第一選択薬であるイソニアジドとリファンピシンに対して耐性を獲得しており、同時に第二選択薬であるフルオロキノロンと注射剤にも耐性示す結核菌で、治療の選択肢が大幅に限られる。現在、米国をはじめとする100か国で感染例が報告されているという。
結核菌陰性化率が上昇し、死亡率も低下
大塚製薬が創製したデラマニドは、多剤耐性結核をはじめとする結核菌を特異的に殺菌する新規薬効群(ニトロ-ジヒドロ-イミダゾオキサゾール)に分類される初の化合物で、欧州、日本、韓国で承認を取得している。WHOは、2014年10月にデラマニドの多剤耐性結核に対する使用に関する指針を発表。また、2015年5月に、効果、安全性、費用対効果に関する科学的根拠に基づいて医薬品を収載する必須医薬品リストに同剤を追加した。現在は、小児の多剤耐性結核の適応取得に向けて開発を行っているという。
今回、同剤のフェーズ2bのデータの解析から、WHOが推奨する標準治療(OBR)に上乗せしてデラマニドを2か月間服用することで、喀痰中結核菌の消失(SCC)がプラセボを上乗せした群と比較して向上していたことが確認されたという。
また、その後のオープン試験での継続治療により、最終的に治療が成功する確率が2倍以上向上する可能性が示された。さらに、同剤を6か月以上服用した群では、服用期間が2か月以下であった群と比較して、死亡率が低かったことも確認されたという。
今回の解析は、デラマニドが現在の治療を改善し得る可能性を示すものだとし、同社は今後も致死性の高い超多剤耐性結核に対して、研究を続けていきたいとしている。
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・大塚製薬株式会社 ニュースリリース