全国規模のゲノムスクリーニングプロジェクトを立ち上げ
国立がん研究センターは3月10日、次世代シーケンサーによる最新のマルチプレックス診断パネルを取り入れた、産学連携全国がんゲノムスクリーニング「SCRUM-Japan」を新たに立ち上げ、登録を開始したと発表した。
画像はプレスリリース:資料より
このプロジェクトは、全国の医療機関、大学・研究機関、そして製薬企業との協働のもと行われる。これまでに、肺がん(LC-SCRUM-Japan:2013年開始)および大腸がん(GI-SCREEN-Japan:2014年開始)を対象にして別々に実施してきた全国規模のゲノムスクリーニングネットワークを統合したもので、個別化医療の実現を目指す取り組みとなる。
希少頻度の遺伝子異常をもつがん患者に、新たな治療選択を
SCRUM-Japanでは、全国の医療機関から提出された検体を用いて、大規模な遺伝子解析を行い、治療の標的になる特定の遺伝子に異常をもつがん患者を見つけ出す予定。このプロジェクトにより、有用な治療手段のない希少頻度の遺伝子異常をもつ患者に新たな治療選択肢を提供することが可能となり、さらに、複数の遺伝子を同時に解析できるマルチプレックス遺伝子診断薬の臨床応用の実現を目指すという。
実施期間は2015年2月~2017年3月31日を予定しており、以降、更新の可能性もあるとしている。対象症例は、肺がん、消化器がん(大腸、胃、食道、小腸、虫垂、肛門管、消化管原発神経内分泌がん)で、各1,000例/年の4,500例を目標としている。
同研究で構築される遺伝子情報と診療情報を合わせたデータベースは、個別化医療の実現と、医薬品開発に不可欠な基盤システムとしても期待が寄せられる。
▼外部リンク
・国立がん研究センター プレスリリース