甲状腺がんに対する全身療法の第3相試験として掲載された初めての論文
エーザイ株式会社は2月12日、同社創製の新規抗がん剤「レンバチニブメシル酸塩」 に関する放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん(RR-DTC)を対象とした臨床第3相試験(SELECT試験)の結果が、「New England Journal of Medicine」(NEJM)2015年2月12日号に掲載されたことを発表した。
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レンバチニブは、血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的治療薬。特に甲状腺がんの増殖、腫瘍血管新生に関与するVEGFR、FGFRおよびRETを同時に阻害する。また、同剤は、VEGFR2とのX線結晶構造解析から新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された最初の薬剤であり、速度論的解析からは、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されているという。
分化型甲状腺がんは、甲状腺がんの中で最も発生頻度が高く、およそ95%を占めている。その中でも、今回対象となった、手術および放射性ヨウ素療法での治療が難しい放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんは、治療薬が限られており、アンメットメディカルニーズが高い疾患であった。
治療抵抗性分化型甲状腺がん患者においてPFSを顕著に改善
今回論文が掲載されたSELECT試験は、392人の進行性のRR-DTCの患者を対象とした多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床第3相試験。この試験で、レンバチニブは、主要評価項目である無増悪生存期間 (PFS)において、プラセボに比較して統計学的に有意な延長を示した(p<0.001、レンバチニブ18.3か月vsプラセボ3.6か月(中央値)、ハザード比0.21(99%信頼区間 = 0.14-0.31))。さらに、プラセボに対して統計学的に有意に高い奏効率を示し(p<0.001、レンバチニブ64.8% vsプラセボ1.5%)、特にレンバチニブ投与群では、完全奏効が1.5%(4例)確認されたという。
また、同試験においてレンバチニブ投与群で高頻度(頻度40%以上)に認められた副作用は、高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労・無力症(59.0%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)だったとしている。
レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で、2014年6月に日本、同年8月に米国、欧州で承認申請を行ったのをはじめ、世界各国で順次承認申請を進めている。また、日本、米国、欧州の各当局から、甲状腺がんに関わる希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けており、さらに、米国では優先審査、欧州では迅速審査にも指定されているという。エーザイでは現在、同剤に関して、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第3相試験や、腎細胞がん、非小細胞肺がんなど複数のがん腫を対象にした臨床第2相試験を進行中だとしている。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース