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脊髄小脳失調症モデルマウスの遺伝子治療に成功−JSTら

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2014年12月18日 PM03:30

神経変性疾患の治療開発に期待

科学技術振興機構()は12月15日、DNAの機能に大きな影響を与えるたんぱく質HMGB1を遺伝子治療的に補充することで、1型(SCA1)モデルマウスの寿命と運動能力を顕著に改善することに成功したと発表した。


画像はプレスリリースより

この研究は、JSTの戦略的創造研究推進事業において、東京医科歯科大学難治疾患研究所の岡澤均教授らが行ったもの。研究成果は、欧州分子生物学機構(EMBO)の科学誌「EMBO Molecular Medicine」オンライン版に現地時間12月15日付で公開されている。

脊髄小脳失調症は、アルツハイマー病、パーキンソン病に次いで患者数の多い神経変性疾患。推定患者数は3万人と言われている。近年、神経変性疾患の発症メカニズムは解明されつつあるが、いずれの変性疾患も病態修飾療法には成功しておらず、脊髄小脳失調症1型(SCA1)においてもその病態解明と治療開発は喫緊の社会的問題であった。

ミトコンドリアDNA損傷を修復する機能を新たに発見

同研究グループは、2007年に網羅的タンパク質質量解析(プロテオミックス解析)を用いて、SCA1およびハンチントン病の神経細胞モデルで共通して減少するタンパク質として「HMGB1」を発見していた。今回の研究では、この研究成果を臨床応用に近づけていくために、米国・ベイラー医科大学のゾービ教授らが開発したSCA1モデルマウスを用いて、HMGB1の補充による治療効果を調査した。

その結果、HMGB1発現トランスジェニックマウスとの交配、またはHMGB1発現アデノ随伴ウイルスベクターの投与により、SCA1モデルマウスの症状が顕著に改善することが示されたという。さらに、HMGB1がミトコンドリアDNAの損傷修復に関与し、治療効果を発揮することも世界が初めて明らかになった。

今回の研究成果は、HMGB1を分子標的として病態修飾による治療の可能性を明らかにしたもので、今後、SCA1をはじめさまざまな神経変性疾患に対するHMGB1の遺伝子治療の開発につながるものと期待される。(

▼外部リンク
科学技術振興機構 プレスリリース

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