自己免疫疾患の発症メカニズムが定説とは異なる可能性も
東京大学は12月9日、同大大学院医学系研究科の宮寺浩子助教(研究当時)、徳永勝士教授らの研究グループが、HLA(ヒト白血球抗原)タンパク質の安定性を大規模に解析し、1型糖尿病のかかりやすさに関連するHLA遺伝子型が、安定性が顕著に低いHLAタンパク質を作ることを発見したと発表した。
画像はプレスリリースより
従来の研究では、HLA遺伝子多型と自己免疫疾患との関連については、HLAタンパク質のペプチド結合性によって説明されているが、実際の発症機序については不明な点が多く残されている。同研究で得られた知見は、自己免疫疾患発症の過程に、これまでの定説とは異なる発症機序が働いている可能性を示唆している。
自己免疫疾患発症機序の根幹の解明に期待
今回の研究では、ヒト集団中の主要なHLA遺伝子型(HLA-DQ座位)約100種類についてHLAタンパク質の安定性を測定。1型糖尿病のかかりやすさに関連するHLA遺伝子型が、安定性が顕著に低いHLAタンパク質を作ること、逆に1型糖尿病のかかりにくさに関連するHLA遺伝子型が非常に安定なHLAタンパク質を作ることを見出したという。
同研究グループではさらに、HLAタンパク質の安定性制御に関わるアミノ酸残基を変える遺伝子多型を同定。この遺伝子多型が1型糖尿病のかかりやすさに強く関連すること、そして、この遺伝子多型の起源が非常に古いことも明らかにしたとしている。
同研究グループはこの成果を糸口として、自己免疫疾患の発症機序の根幹について、さらなる解明に取り組むとしている。(大場真代)
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・東京大学 プレスリリース