血液検査で診断が可能になった?
うつ病の診断では、これまで問診が診断の上で最も大きな比率を占めていました。
この画像はイメージです by cooldesign
ところが、アメリカ・ノースウェスタン大学から血液検査でうつ病の診断が可能になったという報告があがりました。研究の対象となったのは、21歳から79歳の男女64人。このうちの32人は、専門家が問診の結果、うつ病と診断した人たち。残りの人たちは比較を行うため、うつ病にかかっていないとされる人たちでした。
参加者の血液検査を行った結果、うつ病と診断された人たちでは、9つのRNAマーカーの値が著しく異なっていました。このことから、この9つの要素を調べる血液検査で、うつ病の診断を行うことができると解釈されました。
個別に有効性の高い治療法も推定可能
更に、血液検査では、それぞれの患者さんに有効な治療法を見つけることも可能であることが分かったのです。服薬、認知行動療法など、様々な治療法を組み合わせることが有効とされるうつ病ですが、これまでは、様々な方法を試しながら、一人ひとりの患者さんに最も効果的な治療を探求することが主流でした。
今後、検査法を更に改善すれば、有効な治療法をあらかじめ予測することができるというメリットも、期待される側面の一つとなっています。
これまで、問診や観察など、数値で測れない要素で診断を行ってきた、うつ病。数字で示される検査方法が確立したことは、非常に意義が高いと評価されています。
同様に、他の精神科疾患にも、このような方法が診断上活用されることに期待が集まっており、まずは今回の血液検査で、うつ病と躁うつ病の区別をつけることができるか、についての追跡が開始されているそうです。臨床での活用が期待されますね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
・First Blood Test to Diagnose Depression in Adults
・Blood transcriptomic biomarkers in adult primary care patients with major depressive disorder undergoing cognitive behavioral therapy