強い香りや匂いが引き金となり、ぜんそくの発作が出る人がいます。しかし、これまでどうしてこのような反応が起こるのか、詳しいメカニズムは明らかになっていませんでした。そこでアメリカのモネル化学感覚センターが研究を行ったところ、その人自身が体に良くないと考えている匂いにさらされると、発作が起こるリスクがより高まるということがわかったのです。
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専門誌「Journal of Psychosomatic Research」オンライン版に発表されたこの研究には、軽いぜんそくを持っている17人の人たちが参加。この人たちに、フェニルエチルアルコールの匂いがするところで、15分間過ごしてもらいました。フェニルエチルアルコールは、バラの香りの成分で、一般的には不快な香りではありません。また、化学構造的にも、呼吸器やその他の器官の健康に悪影響を与える物質ではありません。
さて、研究に参加した人たちは、実験前にフェニルエチルアルコールについて、説明を受けました。8人はこの物質は、ぜんそく発作のきっかけになる可能性があると説明を受け、残りの人たちは、この物質が呼吸器の健康増進に役立つと説明を受けたのです。
匂いにさらされてからの様子を観察すると、フェニルエチルアルコールの匂いがぜんそくによくないと説明された人たちは、気道の収縮や炎症が起こり、ぜんそくの発作へとつながる体の反応が見られていました。また、呼吸器の不快症状を自覚していた人たちも見られました。
一方で、この匂いはぜんそくに良いと伝えられた人たちでは、自覚症状の訴えの割合も低く、その他の体の反応があまり見られませんでした。
このことから、匂いが引き金となるぜんそくの発作は、その人自身の考え方や、知識にも影響されることが明らかになったのです。病気について正しく理解し、管理を行っていくことが必要であると、改めて感じされられますね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
・In Asthma, It’s Not Just What You Smell, But What You Think You Smell
・Asthma and odors: The role of risk perception in asthma exacerbation