
横井氏らの研究グループは、院外処方箋を応需する薬局における調剤医療費のデータベースとして厚生労働省が公開している、調剤MEDIASデータを活用。2012年のデータから各都道府県の処方箋1枚当たりの内服薬剤料、投薬日数を抽出した。そのデータをもとに院外処方における各都道府県の1日内服薬剤料を算出。その上で、各都道府県における[1]医薬分業率[2]GE薬の使用率(数量ベース)[3]75歳以上の人口比率――の3因子が、1日内服薬剤料の増減にどのような影響を及ぼすのか、多変量解析を行った。
その結果、医薬分業が進んでいる地域ほど、院外処方における1日内服薬剤料は減少していることが明らかになった。
「この解析では因果関係まで示すわけではないが、医薬分業を進めることによって、1日内服薬剤料を減らせると推定できる。医薬分業の推進によって薬剤料が減るという根拠の一つになる」と横井氏は話す。
また、予想した通り、GE薬の使用率が高い地域ほど1日内服薬剤料は減少しており、両者には相関関係が認められた。その相関の強さは、医薬分業の進展と1日内服薬剤料の減少の相関関係と同程度だった。「GE薬をたくさん使えば薬剤料が減るのは分かっている。それと同じ精度で、医薬分業の進展と薬剤料の減少には相関関係がある」と横井氏は説明する。
さらに、GE薬の使用率を1%高めた時の1日内服薬剤料の減少効果と、医薬分業率を4%高めた時の減少効果はほぼ同等ということが、今回の調査から推定できたという。一方、高齢化率が高い地域ほど1日内服薬剤料は高いと予想されたが、75歳以上の人口比率とは相関関係は認められなかった。
今回の解析は、医薬分業の有無による効果を調べたのではなく、医薬分業が進んでいない地域と、進んでいる地域での違いを比較したものだ。その結果について、横井氏は「分業率が高い地域ほど薬剤料が減るのは、面分業が進んでいるからではないか。マンツーマン分業の場合だと、薬局からの牽制がかかりにくい。分業率が高まって地域に処方箋が散らばると、いろいろな薬局から疑義照会がかかるようになる。その牽制が効いてくるからではないか」と推測している。
90年代から医薬分業が国内で本格的に推進され、13年度の分業率は67%に達している。医薬分業によって、病院や診療所の経営から薬剤費が分離し、薬が過剰に処方されるのを防ぐ狙いがあったとされる。
医薬分業をめぐって、その経済効果を疑問視する声が高まる中、医薬分業の推進には薬剤費を削減する効果があるのかどうかを検証するため、横井氏らは今回の解析を行った。医薬分業の効果について小規模調査や特定のデータを用いた検証は過去にも行われたが、全国規模のデータを活用した検証は初と見られる。横井氏らは、1日内服薬剤料の差に着目することによって、その効果を立証した。