科研製薬が創製した爪白癬治療剤
科研製薬株式会社は6月10日、同社が創製した爪白癬治療剤の「エフィナコナゾール」(一般名)に関し、その導出先であるValeant Pharmaceuticals International, Inc.(バリアント社)が、米国食品医薬品局(FDA)より同剤の承認を取得したと発表した。
画像はwikiメディアより引用
バリアント社はこの件に関し、現地時間の6月9日にリリースを発表し、同社の子会社であるValeant Pharmaceuticals North America LLCが、「エフィナコナゾール10%外用液(商品名:Jublia(R))」について、FDAから新薬承認申請の承認通知を得たとしている。
同剤は、米国で承認された初の外用トリアゾール系爪白癬治療剤。FDAの審査終了目標日は6月20日に指定されており、前倒しでの承認取得となったかたちだ。
世界初のトリアゾール系外用剤開発、科研製薬が米国での製剤供給も担当
エフィナコナゾールは科研製薬が創製した、新規のトリアゾール系化合物。日本国内においては外用爪白癬治療剤「KP−103」として製造販売承認を申請中である。海外においてはバリアント社が米国およびカナダで承認申請を行い、カナダに関しては、昨年10月にすでに承認を取得している。
トリアゾール系化合物での外用剤開発は、世界初の試み。その活性は血清および角質存在下でも既存治療薬に比較し、低下することが少ないことが判明しており、角質の厚い部位や爪内などでも優れた活性を示すと考えられている。
同剤は、各種真菌症動物モデルにおいて、その除菌効果が確認されており、とくにモルモット爪真菌症モデルにおいては、既存薬よりも優れた効果を発揮した。こうしたことから、経口剤治療が主流の難治性爪白癬に対する、新たなアプローチの外用治療薬として期待されている。
なお、今回のFDAによる承認取得発表とあわせ、科研製薬とバリアント社は、科研製薬が米国における製剤供給を担当することで合意したことも明らかにした。(紫音 裕)
▼外部リンク
・科研製薬株式会社 ニュースリリース