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問診、診察の限界 これからの性器ヘルペス診断のあり方とは

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2014年04月24日 PM06:00

106例中22例が他の疾患と診断

ファーマ株式会社は4月18日、「性器ヘルペス」に関するメディアセミナーを開催した。このセミナーは、2013年12月9月に単純ヘルペスウイルス抗原検出のための迅速診断キット「プライムチェック(R)HSV(単純ヘルペス)」を発売した同社が、性器ヘルペスをはじめとする性感染症の認知向上を目指し行ったもの。医療法人聖和会 早川クリニック副院長の早川潤氏らが講演した。


医療法人聖和会 早川クリニック
早川潤副院長

早川氏はまず「性器ヘルペスの診断は問診、診察、臨床検査によって総合的に診断されることが望ましいですが、実際は問診、診察のみが行われることが多いです」と明かした。実際に早川クリニックで2年間にわたり行われた調査では、初発で同クリニックを受診した患者106例のうち、およそ2割にあたる22例が、前院では別の疾患として診断。特に発症から7日以降に受診した患者では、69%が違う疾患として治療されていたことが分かったという。

症状がはっきりと現れるため、専門家からすると初発の性器ヘルペスは「わかりやすい」ということだが、それでも2割が見逃されていたことになる。「症状が分かりにくい再発型では、もっと多くが見逃されている可能性があります」と早川氏は語った。

問診、診察による診断の限界

性器ヘルペスが見逃される理由としては、受診する科目が一定でなく(内科・婦人科・泌尿器科など)、医師の経験・知識不足が考えられる。大学病院など大型の病院には、性器ヘルペスの患者の来院自体がまれであるため、研修制度にも問題がある可能性があるという。

また、問診を鵜呑みにして、診察をしていない場合もあるという。「患者が『これは膀胱炎だ!』と自己診断して、薬だけもらおうとすることがあります。患者の訴えだけでなく、医師がしっかり診察する必要があります」(早川氏)

一方、性器ヘルペスは梅毒、帯状疱疹、薬の副作用によるもの、自己免疫の異常によるものなど性器に潰瘍性病変が生じる鑑別すべき疾患が多いこともあげられる。早川クリニックにも前院で性器ヘルペスと診断されたが、実は他の疾患であった患者が来院することもあるという。

早川氏は「前院で性器ヘルペスと診断されたが、実際は帯状疱疹であった患者がいました。帯状疱疹は早期発見、早期治療を行わないと、難治性の神経疼痛が残ってしまう場合があります」と語り、問診と診察だけでの診断には限界があるとした。

そこで重要となるのが臨床検査による早期発見だ。「性器ヘルペスはウイルスの感染によって起こるので、病原診断法が確実です。これまでに蛍光抗体法やウイルス分離同定法、核酸同定法などがありますが、臨床医が外来で行えるのは、保険適応となる蛍光抗体法のみです。しかし、この蛍光抗体法は最短でも5日、通常1週間かかり、また感度が低いという欠点があります」(早川氏)

実際に早川クリニックで蛍光抗体法の検査感度を調べたところ、臨床的に性器ヘルペスと診断した132例のうち、42例しか陽性との回答が返ってこなかったという。こうした問題から急性期の診断、治療には向いていないと語った。

期待される迅速診断キットの普及

現在、感染症の最前線では免疫クロマト法が普及しており、一般的に行われているインフルエンザの診断などがこれにあたる。

早川氏らは7年ほど前からこの免疫クロマト法に着目。性器ヘルペスの抗原検査に使えないか検討を重ねてきたという。そして2013年夏、保険適用の認可を受け、同年12月からキットとして発売した。このキットを使えば、特殊な機械を必要とせず、10分ほどで結果が分かるという。このキットの検査感度を調査したところ、初発例で94%(n=17)、再発例で85%(n=33)であったという。

最後に早川氏は「性器ヘルペスの診断は問診、診察によって行われていましたがそこに迅速な、保険適応のあるこの検査方法が加わったことにより、確実な診断、適正な治療ができるようになることが期待されます。これにより患者の身体的、経済的不利益の回避、不適切な薬剤投与の解消につながると考えられます」とまとめ、同検査方法、キットの普及に期待を寄せた。(

▼外部リンク

アルフレッサ ファーマ株式会社
http://www.alfresa-pharma.co.jp/

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