メトヘモグロビン濃度70%以上では高い死亡率
第一三共株式会社は3月17日、メトヘモグロビン血症治療用注射剤のメチレンブルー(一般名・INN:Methylthioninium chloride)について、日本国内における製造販売承認の申請を行ったと発表した。
メトヘモグロビン血症は、医薬品や農薬などの化学物質により、血中メトヘモグロビン濃度が増加し、チアノーゼや頭痛、めまい、呼吸困難、意識障害といった症状が出現する疾患として知られている。また、メトヘモグロビン濃度と臨床症状には相関がみられ、濃度70%以上で治療が施されない場合の死亡率は高いという。
(画像はwikiメディアより引用)
薬剤性のメトヘモグロビン血症を引き起こすものとしては、大きく分けてヘムを直接酸化する薬剤と、酸素の存在下で自己酸化を生じ、過酸化水素やフリーラジカルを形成して、間接的にヘムを酸化するものの2つのタイプがある。
開発企業募集が実施された薬剤
メチレンブルーは、赤血球内でNADPH依存メトヘモグロビン還元酵素系により、赤血球中のメトヘモグロビンを還元してヘモグロビンに戻す。このメカニズムにより、治療の効果が得られると考えられている。なお、先天性メトヘモグロビン血症のG-6-P脱水素酵素欠損者などでは、その作用機序上、効果を示さないことが報告されている。
日本国内においては未承認の治療薬であるため、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において開発企業の募集が行われ、第一三共が開発を実施すると決定されていた。同社ではこれを受け、2011年11月にフランスのProvepharm SASから、メチレンブルーの日本における独占的開発・販売権を取得、開発を進めてきていた。(紫音 裕)
▼外部リンク
第一三共株式会社 ニュースリリース
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/