悪性リンパ腫対象、タカラバイオと自治医科大学附属病院で実施
タカラバイオ株式会社は3月13日、同社と自治医科大学附属病院が共同での実施を予定している、悪性リンパ腫の一種、非ホジキンリンパ腫(B-NHL)に対するCD19抗原特異的キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子治療の臨床研究実施計画が、厚生労働省の了承を取得したと発表した。
試験名は「CD19特異的キメラ抗原受容体発現Tリンパ球を用いた難治性B細胞性悪性リンパ腫に対する遺伝子治療臨床研究」。今後、倫理審査などの諸手続きを経たのち、自治医科大学附属病院を試験実施機関として開始される予定だ。
(画像はwikiメディアより引用)
TCR遺伝子治療と並ぶがん免疫遺伝子治療の開発候補
試験は、患者の血液から採取したリンパ球に、がん細胞に発現しているCD19抗原を特異的に認識するCAR遺伝子を体外で導入し、拡大培養を行った後、遺伝子導入細胞を患者に輸注する方法で実施されるという。
目標症例数は6例から最大18例で、実施期間は平成26年4月から平成29年3月の3年間を予定している。主要評価項目は、このCAR遺伝子治療の安全性であり、副次評価項目には、腫瘍縮小効果などが挙げられている。
体外遺伝子治療の一種であるCAR遺伝子治療は、海外ではすでに悪性リンパ腫、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病などを対象とした臨床試験が多数実施されている。とくに米Memorial Sloan-Kettering Cancer Center(MSKCC)の研究チームが顕著な有効性を示す結果を発表している。
タカラバイオでは、MSKCCが米国での臨床試験に用いたベクターを、この臨床研究で使用する権利を平成23年に取得しており、臨床試験開始に向け準備を進めてきていた。今回の臨床研究では、MSKCCより提供を受けた材料をもとに臨床グレードのレトロウイルスベクターを自社製造し、タカラバイオの遺伝子導入用試薬であるレトロネクチンとともに使用する予定という。
同社はCAR遺伝子治療を、TCR遺伝子治療と並ぶがん免疫遺伝子治療の開発候補のひとつと位置付けており、実用化に向けた安全性や有効性の評価を積極的に進めていく方針としている。(紫音 裕)
▼外部リンク
タカラバイオ株式会社 ニュースリリース
http://www.takara-bio.co.jp/news/2014/