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順天堂大と理研ら 遺伝性難聴の原因メカニズムを解明

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2014年03月13日 AM06:00

ギャップ複合体の劇的崩壊による難聴発症様式を発見

順天堂大学は3月14日、同大学医学部耳鼻咽喉科学講座の神谷和作講師らの研究チームが、遺伝性難聴の最大の原因であるコネキシン26遺伝子変異による難聴の原因メカニズムを明らかにしたと発表した。この研究成果は、理化学研究所バイオリソースセンター、がん研究所、ペンシルバニア大学との共同研究によるもの。

(画像はプレスリリースより)

出生児1,000人に1人の割合で発生する聴覚障害

聴覚障害は出生児1,000人に1人の割合で発症し、先天性疾患の中で最も高頻度で発生する疾患の一つだ。聴覚障害のうちの半数以上は遺伝性難聴であり、GJB2変異遺伝性難聴(コネキシン26遺伝子変異型難聴)がそのうちの半数以上を占める。

このGJB2変異遺伝性難聴は、難病に指定されている感音性難聴で、言語発達および教育に大きな支障をきたすが、原因メカニズムが解明されていないため、現在のところ根本的な治療法や治療薬は存在していない。

そこで同研究チームは、コネキシン26変異がどのように難聴の原因となるのかを調べるために、内耳においてコネキシン26遺伝子が部分的に欠損する新しい疾患モデルマウスを開発し、内耳の細胞間のイオン輸送を担うギャップ結合プラークと呼ばれるタンパク質複合体の役割を調べた。

その結果、これらのマウスではコネキシン26遺伝子の変異によってギャップ結合の集合体が分断され、機能を補完するはずの他のコネキシンの量も33%程度にまで減少していたことがわかったという。

このギャップ結合複合体の劇的崩壊によって内耳のイオン輸送ができなくなり、音の振動を電気信号に変換する内耳リンパ液の組成が異常になるために聴力が低下すると考えられるとしている。

薬剤スクリーニングが可能に

現在のところは、この遺伝性難聴に対しての根本的な治療法・治療薬は存在しないものの、同研究チームは今回開発されたコネキシン26遺伝子欠損マウスを使って、iPS由来細胞とコネキシン26の遺伝子治療を組み合わせた難聴治療実験を行い、有効な成果を得ている。

また、今回発見された患者の異変コネキシン26によるギャップ結合プラークの劇的崩壊現象は、培養細胞によっても容易に再現できるという。

そのため、この現象を有効性判定に利用すれば薬剤スクリーニングが可能になり、コネキシン遺伝子の変異に起因する多くの遺伝性・難治性疾患の病態メカニズムの解明や創薬スクリーニングの指標として活用できると考えられる。(鈴木ミホ)

▼外部リンク

順天堂大学 プレスリリース
http://www.juntendo.ac.jp/graduate/pdf/

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