医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長は8日、都内で開いたPMDAフォーラムで講演し、「薬事は究極の医療倫理」と指摘。透明性、公平性、倫理性を確保した世界第一級の審査機関に向け、「産官学が力を合わせ、国民目線を失ってはならない」と訴えた。
近藤氏は、“薬事”に言及し、医薬品・医療機器等の品質、有効性、安全性確保のための規制や新薬、医療機器の研究開発促進等に必要な施策を講じることによって、保健衛生の向上を図ることにあり、常に信頼性確認が求められるものと定義。「薬事は究極の医療倫理」とした。
社会と人類のための倫理的な科学がレギュラトリーサイエンス(RS)だとし、医薬品・医療機器等の分野では、実用化に必要とされる品質・有効性・安全性について、「倫理観を持って国民が使ってもいいか」という観点から見定めるものと位置づけた。
また、日本から創出された医薬品の品目数が世界3位とのデータを示しつつ、こうした日本の創薬研究等を一般に適用するためには、薬事承認による実用化が必要とし、「早期から薬事承認を意識して研究すべき」と訴えた。
その上で、世界第一級の審査機関を目指していくPMDAの方向性を提示し、「産官学が力を合わせて、国民目線を失ってはならない」と強調。その前提として、透明性、公平性、倫理性の絶対的な確保が必要との考えを述べた。