恋するホルモンなどとも呼ばれる「オキシトシン」。人間関係に影響を与えるホルモンとして、自閉症の人や、病気としての診断がついているわけではないけれども、人間関係について何らかの問題を感じている人たちに、処方されることがあります。
(この画像はイメージです)
先日、カナダのコンコルディア大学の研究グループによって、このオキシトシンに関する興味深い研究結果が発表されました。それは、必要のない場合には簡単にオキシトシンを処方しない方が良い、というものです。この研究結果は、10代後半から20代前半の82人にオキシトシンと、プラセボを飲んでもらって明らかになったことです。
対象の人たちには、色々な表情を浮かべている人たちの写真を見てもらいました。すると、オキシトシンを飲んでいる人たちは、時に深読みしてしまうことがあることがわかったそうです。
例えば、仕事の面接を考えてみましょう。面接官が、椅子の座り心地が悪くて一瞬顔をしかめたとします。ところが、オキシトシンを取っていることで、「この面接官は、自分に対して悪い印象があって顔をしかめたのではないか…」と心配し続けてしまう、といった状況が想定できるそうです。
オキシトシンが、面接などの極度な不安を和らげるために処方されても、これでは逆効果になってしまいます。この調査結果から、研究チームでは、「絶対的な必要性がない限りは、若い人たちに対するオキシトシンの処方は慎重にした方が良い」としています。
オキシトシン。本当に不思議なホルモンですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
The Effect of Intranasal Oxytocin on Perceiving and Understanding Emotion on the Mayer-Salovey-Caruso Emotional Intelligence Test
http://psycnet.apa.org/
‘Love hormone’ oxytocin carries unexpected side effect
http://www.concordia.ca/news/cunews/main/stories/