いまだ有効なワクチンのない呼吸器合胞体ウイルス
アステラス製薬株式会社は1月6日、米国のClearPath Development Company(以下、クリアパス社)と、感染症領域におけるワクチンポートフォリオ構築に関する戦略的提携関係を締結したと発表した。
この戦略的提携を通じ、クリアパス社のもとにあるRSV CorporationがMymetics Corporationから導入した呼吸器合胞体ウイルス感染予防ワクチンの開発に投資していくという。
呼吸器合胞体ウイルスは、感染すると、とくに乳幼児や慢性呼吸器疾患及び循環器疾患を罹患している高齢者において重症化しやすく、毎年全世界で6,400万人が感染し、16万件の死亡原因となっているとの報告があるが、いまだ有効なワクチンが開発されていない。
(画像はwikiメディアより引用)
Virosome技術を用いたワクチン 強い免疫反応を誘導
開発中の呼吸器合胞体ウイルス感染予防ワクチンは、Virosome技術をベースに創製されたもので、免疫系のターゲットとなるウイルスの主要な表面抗原蛋白質を保持する膜成分からなるものという。感染を引き起こす遺伝物質は含まない。すでに非臨床試験において、同ワクチンが強い免疫反応を誘導し、呼吸器合胞体ウイルスに対し防御効果を発揮することを確認しているという。
ワクチンの開発は、George Siber氏率いるクリアパス社を中心とした開発チームが担当する。Mymetics Corporationは、RSV Corporationとの契約に基づき、非臨床試験、製造開発及び製造を手がける。アステラス製薬は、ヒトでの薬効効果を確認するPOC(Proof of Concept)試験終了までの開発費用を負担するといい、RSV Corporationを買い取って、同ワクチンの開発・事業化を行う独占的権利を獲得している。
アステラス製薬では、今後もクリアパス社との戦略的提携を通じ、感染症領域における革新的なワクチンシーズの探索・獲得活動をグローバルで推進し、ワクチンのポートフォリオを拡充していくという。(紫音 裕)
▼外部リンク
アステラス製薬株式会社 ニュースリリース
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/
ClearPath Development Company プレスリリース
http://www.clearpathdevco.com/wp-content/