軟骨無形成症の治療薬開発に
名古屋大学は12月5日、乗り物酔いOTC薬のメクロジンに骨伸長促進作用があることが見いだされたと発表した。
(画像はプレスリリースより)
これは、同大学医学系研究科整形外科学の石黒直樹教授、鬼頭浩史准教授、松下雅樹大学院生、神経遺伝情報学の大野欽司教授によるもの。研究結果は、米国学術誌「PLOS ONE」オンライン版に12月4日付で発表されている。
研究グループは、軟骨無形成症に対する根本的治療薬の開発を目的に、既存薬のスクリーニングを実施。軟骨無形成症のモデルとなる軟骨系細胞において線維芽細胞増殖因子受容体3の活性を抑制する既存薬を網羅的に検索した結果、メクロジンを同定し、動物実験によりメクロジンに骨伸長作用があることを見いだしたという。
動物実験を経て臨床治験へ
メクロジンは、抗ヒスタミン作用による乗り物酔い止め薬。50年以上使用されているもので、至適服用量・副作用・禁忌などの安全性は確立されている。しかし、軟骨無形成症における低身長治療薬として使用する場合、成長期において長期的に投与する必要があるため、研究グループは今後、メクロジンの長期連続投与の安全性の確認、骨伸長効果の至適使用濃度決定を動物実験で行う予定。安全性および有効性が示されれば、臨床治験を実施するとしている。(小林 周)
▼外部リンク
名古屋大学 ニュースリリース
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/