2012年に明らかに
環境化学物質への母体曝露が仔ラットの記憶学習機能に影響を及ぼすことが、東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター健康環境医工学部門・遠山千春教授によって12月4日、発表された。
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遠山教授のグループは2012年に、発達期に微量のダイオキシンの曝露を受けたマウスが前頭前皮質の機能異常を生じる可能性を明らかにしている。その影響についての検証が必要とされていたが、前頭前皮質の研究はヒトやサルを用いて行われることが多く、マウスやラットを用いて調べることは難しいとされてきた。
新しい方法により検証可能に
今回の研究では、エジンバラ大学のリチャード・モリス教授とともに新しい検出方法を開発。ラットの前頭前皮質を使ってメンタル・スキーマ対連合学習を成立させ、ダイオキシンの影響を調査したという。
その結果、微量のダイオキシンが投与された母ラットから産まれた仔ラットは、餌の場所を覚えるといった比較的簡単な記憶課題では影響が認められなかったものの、街の地図を覚えるといった複雑な課題に対しては高次の脳機能が阻害されていることが明らかになったという。
研究成果については
そのままヒトには適用できませんが、母体・母乳から体内に取り込んだ微量の化学物質が、子どもの高次脳機能の発達に影響を及ぼす可能性を示唆しており、今後より詳しく検討していく必要があります。(東京大学 プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
東京大学 プレスリリース
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/